研究課題/領域番号 |
23K09278
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
尾立 哲郎 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (70513167)
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研究分担者 |
バラネザハド 有礼左 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (00608870)
黒嶋 伸一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40443915)
澤瀬 隆 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80253681)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ビスホスホネート / 薬剤関連顎骨壊死 |
研究実績の概要 |
近年、ビスホスホネート(BP)系薬剤関連顎骨壊死(BRONJ)の発症は、破骨細胞におけるファルネシルピロリン酸合成酵素活性阻害によるアポトーシスの誘導以外に、破骨細胞による骨吸収の際に、骨表面に吸着したBPが遊離することで活性酸素種(ROS)を発生させることが要因の1つであるとの研究報告がなされている。本研究では抗酸化酵素の一種である、グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPx4)に着目して、① GPx4遺伝子発現を促進する基質を作用させることで、BP使用時の破骨細胞、線維芽細胞および骨芽細胞の増殖・分化・機能発現が回復するかを検討し、② BRONJモデルマウスにて組織学的に評価することを目的としている。 今年度については、これまでに行ってきた線維芽細胞への亜鉛の影響を、抗酸化作用の点から考察した。生体活性ガラスに亜鉛を添加することで、歯肉線維芽細胞のGPx4遺伝子発現の上昇が認められ、コラーゲン遺伝子発現の上昇が認められた。また抗酸化作用をもつラクトフェリンが歯肉線維芽細胞の増殖を促進し、GPx4およびコラーゲン遺伝子発現を増強することを確認した。また、これらはラクトフェリンに亜鉛を添加することでさらに向上し、外科処置後を想定した酸化ストレス感作モデルでは、H2O2によるダメージにより低下したコラーゲン遺伝子発現が回復することを確認した。さらに、アポトーシスの指標となるカスパーゼ3遺伝子発現の低下を認め、蛍光免疫染色でもカスパーゼ3陽性細胞数が減少したことから、ラクトフェリン-亜鉛を添加することで常態および酸化ストレス下におけるアポトーシスを抑制した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
亜鉛による歯肉線維芽細胞のGPx4遺伝子発現への影響について考察したが、ビスホスホネートを使用した実験モデルの確立までは達成できなかったため
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今後の研究の推進方策 |
破骨細胞、骨芽細胞、および線維芽細胞に対する、ビスホスホネートの濃度を早急に決定して実験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
破骨細胞についての検証まで至らなかったため。次年度に実施を予定しており、実験に必要な消耗品の購入に使用する。
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