研究課題/領域番号 |
23K09301
|
研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
岡本 和彦 明海大学, 歯学部, 教授 (50271234)
|
研究分担者 |
曽根 峰世 明海大学, 歯学部, 准教授 (40458493)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | CAD/CAMシステム / 技工用デンタルスキャナー / ポスト部適合性 |
研究実績の概要 |
Ⅰ.目的 近年の歯科用CAD/CAMシステムの進歩は目覚ましく,ワークフローの簡略化と補綴装置の適合性向上が期待されている.エンドクラウン製作法に関して基礎的実験として,模型被検歯に対して技工用デンタルスキャナーを用いてハイブリッド型レジン製根面板のポスト部における適合精度について検討を行った. Ⅱ.方法 被試験歯は,深さ5 mmのポスト部が既に形成されたエポキシ人工歯(A50-359,NISSIN,Japan)を用いた. 製作手順としては,通法に従って印象採得を行った後,作業用模型を製作し,技工用デンタルスキャナー(E3,3Shape,Japan)を用いてスキャニングを行い,デザインソフト(Dental System,3Shape,Japan)を用いてモデリング後,ミリングマシン(CORi350i,Imes-icore,Germany)を用いてハイブリッドレジンブロック(KZR-CAD HR3,YAMAKIN,Japan)の削り出しを行った.なお,セメントスペースは50 μmとし,被験試料数は5 個とした. 適合精度の評価方法は,模型と根面板との間隙量をシリコーンゴムの被膜厚さにより定量化する「セメントレプリカ法」を用いて行った.間隙量の測定方法は,唇舌切断面を基準とするスケールと共にデジタル画像として取り込みPC上で設定した.また,測定点は唇側マージン部(a),唇側歯頸部(b),唇側ポスト中央部(c),ポスト先端部(d),舌側ポスト中央部(e),舌側歯頸部(f),舌側マージン部(g)の7点とした.各測定部位の間隙量の差に関しては,一元配置分散分析を用い,多重比較にはScheffe’s F testを危険率5%未満の場合に有意差ありとした.なお,帰無仮説は各測定点間での間隙量に差はないこととした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Ⅲ.結果 間隙量の平均値は,a点で88.6±11.69μm,b点で78.3±22.6μm,c点で54.9±16.3μm,d点で173.6±39.6μm,e点で101.09±33.23μm,f点で106.9±70.0μm,g点で88.64±29.23μm,であった.また,一元配置分散分析の結果,すべての測定部位間で差が認められ,Scheffe’s F testによる多重比較検定では,ポスト先端部と唇側測定点であるbd間,cd間に有意差が認められ,帰無仮説は棄却された. d以外の測定点では,CAD/CAM補綴装置の適合性の許容範囲である120μmを下回る良好な数値を示したが,近年のシステムを用いて,外側性窩洞のみを対象とした報告にある80μm以下という数値に対しては,b点,c点のみが下回っていた. ポスト先端部に関して間隙量が高値であった理由としては,ポスト先端部のエッジ状部はスキャニングが困難であるため,データが欠落してしまう「エッジロス」が影響している可能性が考えられた.
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度はエンドクラウン製作法における基礎的実験として,エポキシは模型歯に対して技工用デンタルスキャナーを用いてエンドクラウンの維持部となる根面部およびポスト部の適合精度についてハイブリッド型レジン製根面板を想定し検討を行い,ポスト先端部が他の測定部位と比較してでの適合精度が劣ることを確認した.今後は,口腔内スキャナーを応用して同一模型歯に対するスキャニング操作による実験を行い,これまで行ってきた技工用デンタルスキャナーとの適合精度に関する比較検討を行うとともに,エンドクラウンの維持部となるポスト窩洞形態についても考察することを予定する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
エンドクラウン製作法に関して基礎的実験として,エポキシ模型被検歯に対して技工用デンタルスキャナーを用いてハイブリッド型レジン製根面板の根面部およびポスト部における適合精度に関する検討を行った.本実験については,すでに準備してあった実験用材料(ハイブリッド型レジンブロック,シリコーンゴム適合試験材)を使用して実験を行った.一方で解析用PCとその周辺機器については購入をしたために支出した.そのため,実験用材料における支出が少なかった.今後は,実験用材料の購入に使用して行きたいと考える.
|