研究課題/領域番号 |
23K09316
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大野 幸 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (00535693)
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研究分担者 |
倉本 恵梨子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (60467470)
後藤 哲哉 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (70253458)
杉村 光隆 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90244954)
中村 孝博 明治大学, 農学部, 専任教授 (00581985)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 三叉神経節 / 時計遺伝子 / 概日リズム / 急性炎症反応 / マクロファージ |
研究実績の概要 |
時計遺伝子の発現レベルは24時間周期の概日リズムを刻む。この影響を受けて、神経系、免疫系、内分泌系といった、生体システムの機能も日内変動を示す。多くの疾患の症状にも日内変動が観察され、概日リズムを考慮した治療の重要性が認知されつつある。 本研究では、頭頚部の感覚を司る三叉神経節ニューロンの概日リズムが、急性炎症反応の日内変動に、どのようなメカニズムで影響しているのか、という学術的問いを明らかにする。申請者らは、マウスの口唇に痛み刺激を加えた際に、昼より夜に、痛みの感受性が増強すること、さらに、この原因が三叉神経節ニューロンにおける痛み受容体の発現量が夜に増加するという日内変動にあることを発見した。また、痛みに加えて、急性炎症反応も、昼より夜の方が強いことを発見したが、そのメカニズムの詳細は不明である。 急性炎症反応では、マクロファージが重要な役割を果たす。マクロファージには、炎症促進性のM1タイプと、炎症抑制性のM2タイプの、2つのタイプに、大きく分類される。マクロファージは、様々なメディエーターの影響を受けて、炎症促進性と抑制性という、2つの性質を行き来し、その存在比で炎症反応の強さが変化すると考えられる。 そこで本研究では、三叉神経節ニューロンの概日リズムが、マクロファージの炎症促進性・抑制性の性質転換に影響することで、急性炎症反応の日内変動を引き起こしているのではないかと考え、その詳細なメカニズムの解明を目的として研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度のはじめに、所属の異動があったため、研究体制を整えるのに時間がかかった。研究分担者との連携体制が整ったため、次年度からは、研究のペースをスピードアップし、遅れを取り戻すことができると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、三叉神経節ニューロンの概日リズムが司令塔となり、その支配領域である頭 頚部に分布するマクロファージの炎症促進性タイプ(M1)・炎症抑制性タイプ(M2)の割合を変動させて、急性炎症反応の日内変動に影響しているかどうかを解明する。 ①急性炎症時のマクロファージの炎症促進性・抑制性の割合が、明期・暗期で変動するかどうかを明らかにする。正確に24時間周期の生体リズムを刻むよう、明期12時間・暗期12時間の環境で野生型マウスを飼育し、輪廻し活動によりリズムを確認する。明期・暗期、それぞれのマウスの口唇にホルマリンを注入し、急性炎症反応を起こす。マクロファージのM1,M2それぞれのマーカーに対する抗体を用いた免疫染色により、口唇組織中のマクロファージの炎症促進性・抑制性の割合を定量解析する。 ②マクロファージの日内変動が、時計遺伝子の概日リズム依存性かどうかを明らかにする。時計遺伝子のCry1/Cry2ダブルノックアウトマウスでは、生体リズムが平坦化している。明期・暗期それぞれのCry1/Cry2ダブルノックアウトマウスに急性炎症を起こし、マクロファージの炎症促進性・抑制性の割合を定量解析する。日内変動が失われている場合は、マクロファージの性質転換における時計遺伝子のリズムの重要性が明らかとなる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況に遅れが生じており、物品の購入にも遅れが生じ、次年度使用額が生じた。
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