研究課題
本研究は、胎生期に左右の口蓋突起が癒合し、口蓋が一旦形成された後に、癒合部が解離して口蓋裂が発症するという、従来の概念とは異なる口蓋裂の発症機構を見出してきた。GWASにおいてゲノムワイドな有意性が示唆されている非症候性の口蓋裂における関連リスク因子として報告されたGREM1、TP3、IRF6について研究を行った。GREM1は細胞内でBMP4前駆体に結合し、BMP4の分泌を阻止し、その結果、GREM1とBMP4の相互作用を作り出すことができる。GREM1はまた、SHH-GREM1-FGFのフィードバックループにおける役割を持つ。FGF(線維芽細胞増殖因子)は、細胞増殖、遊走、分化、有糸分裂、血管新生、胚形成、創傷治癒に関与している。FGFシグナル伝達経路は、口蓋形成を含む複数の発生過程を制御している。我々は527人のベトナム人のNSOFC(非症候性顔面裂)の表現型について、ハプロタイプ解析と組み合わせた症例および家族ベースの評価を行った。NSOFCおよびその表現型の病因におけるIRF6、TP63およびGREM1の変異体の役割を調査した。ベトナム人におけるTP63とGREM1の顎顔面裂疾患への直接的な関与を支持するものではなかった。しかし、IRF6 rs2235375とNSCLP(非症候性口唇口蓋裂)およびNSCL/P(非症候性口唇裂および口蓋裂)との関連を示す結果として、G対立遺伝子とNSCL/Pとの有意な過剰伝達を示した。また、NSCL/Pと関連するIRF6の新規遺伝子座(rs846810)、NSCL/PおよびNSOFCと関連するrs2235375-rs846810ハプロタイプ(G-GおよびC-A)を同定した。
2: おおむね順調に進展している
口蓋裂に関連する遺伝子研究において、成果が出ており、今後も成果につながることが期待されるため。
引き続き、口蓋裂や口唇裂の関連遺伝子について検索を進め、ヒト遺伝子との関連について調査を進めていきたいと考えている。
本年度は、DNA抽出に時間がかかったが、次年度には、DNAの解析が始まるため、繰り越した。
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Genes (Basel)
巻: 14(11) ページ: 1995
10.3390/genes14111995