研究課題/領域番号 |
23K09344
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
安部 貴大 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20383250)
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研究分担者 |
伊藤 由美 鶴見大学, 歯学部附属病院, 講師 (00176372)
高才 東 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (00911299)
阿部 雅修 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10392333)
沢井 奈津子 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (10403031)
小松 紀子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (10644106)
岡本 晃充 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60314233)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 口腔がん / 光線力学療法 / 抗体-薬物複合体 / イムノトキシン / オーファンドラッグ |
研究実績の概要 |
我々は抗体薬物複合体と光線力学療法を併用した治療戦略に着目し、開発に取り組んでいる。今回、すでに臨床で用いられているセツキシマブ(Cmab)と光線力学的療法用剤であるレザフェリン(NPe6)を用いて抗腫瘍効果をin vitroで検討した。細胞は頭頸部扁平上皮癌細胞株(HO-1-u-1, Sa3, SAS, HSQ-89)を用い、Cmabの標的である上皮成長因子(Epidermal Growth Factor:EGFR)の発現を確認した。これらの細胞に、我々が作製したトキシン結合型Cmab(Immunotoxin: IT-Cmab)とNPe6を用いて、近赤外光670nmを9.28mW/㎝2, 22J/㎝2の照射条件で細胞傷害性試験を行った。各細胞のEGFR発現には差があった。細胞傷害効果の検討では、CmabとIT-Cmabの比較においては差がなかった。しかし、IT-Cmabに光線力学療法を併用することによって、EGFR発現が中等度であった細胞(HO-1-u-1, Sa3)での細胞傷害効果に明らかな有意性が示された。従来EGFR低発現の腫瘍に対し、Cmabは治療抵抗性を示すことが多い。今回既存の抗体医薬と光線力学的療法用剤を応用することによって、EGFR発現が中等度の細胞に対しての有用性がin vitroで確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究施設が概ね整い、現在分担者、大学院生とともに実験を遂行中でき、ある程度順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroの実験系を中心に、光源装置を確立し、セツキシマブを用いたイムノトキシンや光増感剤のタラポルフィンナトリウムに関する細胞毒性試験の条件検討については系を確立出来ている。細胞による効果の違いなどもあり、そのメカニズムについても検討していく必要があると考えている。また動物実験の系を立ち上げていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
為替レートによる円安の影響があり、輸入製品の消耗品については節約をせざるを得ない状況があった。また、試薬関連については実験の進捗に合わせて購入する必要があり、差し当っては慎重になる傾向にあった。実験遂行に支障が出ない範囲で必要最小限の発注を心掛けていく。
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