研究実績の概要 |
これまでの研究から、「カラゲナン誘発性ラット慢性咀嚼筋痛モデル」では、①「消炎鎮痛剤の投与を急性痛発症期に行うと慢性咀嚼筋痛の発症が抑制される」、②「マイクログリア活性抑制剤の投与を急性痛発症期に行うと、慢性咀嚼筋痛の発症が抑制される」、③「アストロサイト活性抑制剤の投与を急性痛発症期に行うと、慢性咀嚼筋痛の発症が抑制される」という3点の知見が得られており、これらの知見から慢性咀嚼筋痛は、急性痛時の炎症メディエーター放出によるグリア細胞(マイクログリア)の活性化が起因となり発症すると仮説を立てている。本研究では、まずこの仮説が正しいかどうかを確認するために、「カラゲナン誘発性ラット慢性咀嚼筋痛モデル」の急性痛期(カラゲナン投与後3日後)および慢性痛期(カラゲナン投与後14日後)における延髄のマイクログリアの活性を確認することにした。ラットに深麻酔(2.5 mg/kg butorphanol, 0.375 mg/kg medetomidine, and 2 mg/kg midazolam, i.p.)を施し経心臓的に還流を行い、ラットの脳幹を切離して、4% paraformaldehydeで固定した後、sucrose置換をし、凍結切片を切り出した。抗 Iba1 抗体を用いて免疫組織化学染色を行い、三叉神経脊髄路核尾側亜核でのマイクログリア活性の変化を調べた。この結果、急性痛期でのマイクログリア活性が活発になり、抗炎症性の鎮痛薬(メロキシカム:2mg/kg, s.c.) を投与した場合は急性痛期のマイクログリアの活性が見られなくなることが分かった。現在は、慢性痛期のマイクログリア活性について検討している。
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