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2023 年度 実施状況報告書

CD44高発現口腔扁平上皮癌細胞におけるBeclin-1を介した癌幹細胞形質の制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K09370
研究機関広島大学

研究代表者

重石 英生  広島大学, 医系科学研究科(歯), 講師 (90397943)

研究分担者 太田 耕司  広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20335681)
小野 重弘  広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (70379882)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード癌幹細胞 / CD44 / 口腔癌 / Beclin-1
研究実績の概要

Beclin-1は,オートファジー誘導に関連するタンパク質で、癌の発生や増殖などに関係しているが,口腔癌幹細胞におけるBECN1の機能は十分に検討されていない。本研究においては、これまでの成果をさらに発展させ、Beclin-1により制御される、口腔扁平上皮癌幹細胞に特有な癌幹細胞形質の制御機構を明らかにすることを目的とする。

1.  口腔癌細胞株OM-1細胞とCD44高発現OM-1細胞をラミニン332でコーティングしたシリコンゲル(弾性率;2.0kPaの)上で培養した。CD44高発現OM-1細胞を用いて、オートファジー関連遺伝子であるBeclin-1の発現を検討した結果、CD44高発現OM-1細胞のBeclin-1 mRNA発現は、OM-1細胞と比較して有意に増加していた。また、CD44高発現OM-1細胞のLC3 mRNA発現は、OM-1細胞と比較して有意に増加していた。蛍光免疫染色にて、Beclin-1 タンパク質の発現を細胞質に確認した。さらに、CD44高発現OM-1細胞における、幹細胞マーカーの発現を検討した結果、CD44高発現OM-1細胞のBMI1, OCT4, KLF4 mRNA発現は、OM-1細胞と比較して有意に増加していた。

2.CD44高発現OM-1細胞における、Beclin-1と癌幹細胞形質との関係を検討するため、BECN1 siRNA ノックダウン後の、幹細胞マーカーの発現を検討した。その結果、CD44高発現OM-1細胞におけるBMI1, OCT4, KLF4 mRNA発現は、BECN1 siRNA ノックダウン後に有意に減少した。さらに、スフィアコロニーの形成能について検討した結果、CD44高発現OM-1細胞におけるスフィアコロニーの形成数は、BECN1 siRNA ノックダウン後に有意に減少した。以上の結果から、BECN1は、CD44高発現OM-1細胞における幹細胞性の維持に重要な役割を担っている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CD44高発現OM-1細胞において、Beclin-1は幹細胞性の維持に重要な役割を担っている可能性が明らかとなった。また、癌幹細胞周囲の微小環境(細胞外基質、足場の弾性率)による癌幹細胞形質の維持機構の存在が示唆された。これまでの研究結果から、CD44高発現細胞が、口腔扁平上皮癌における高度悪性化機構に関与している可能性が示唆され、本研究課題はおおむね順調に進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

1. Beclin-1とアポトーシス抵抗性との関係を明らかにするため、BECN1 siRNA ノックダウンCD44高発現OM-1細胞を用いて、シスプラチン、5-FU、ドセタキセルに対するアポトーシス抵抗性を検討する。さらに、Beclin-1とオートファジー活性との関係を明らかにするため、BECN1 siRNA ノックダウンCD44高発現OM-1細胞を用いて、オートファジー活性を測定する。
2.CD44高発現OM-1細胞を用いて、オートファジーインヒビターである、3-Methyladenine や chloroquine の存在下で、抗がん剤により誘導されるアポトーシスを解析する。これにより、オートファジーと抗癌剤抵抗性との関係を明らかにする。
3.miR-506-3pはBECN1の発現を調整する重要なmicroRNAである。CD44高発現OM-1細胞にmiR-506-3p inhibitorまたはmiR-506-3p mimicsを遺伝子導入し、コロニー形成能、幹細胞マーカー遺伝子の発現、分化マーカー遺伝子の発現、アポトーシス抵抗性、 細胞遊走能、オートファジー活性について検討する。
4.口腔癌細胞株にBeclin-1過剰発現ベクターを遺伝子導入し、細胞浸潤能、スフィアコロニー形成能、アポトーシス抵抗性、オートファジー活性などを検討する。これにより、Beclin-1の口腔扁平上皮癌における高度悪性化への関与を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

(理由)培養デイッシュ作成のための費用が予定金額を下回ったため。
(使用計画)次年度使用額については、ラミニンなどの細胞外基質をコーテイングした培養デイッシュ作成のために必要な費用に充てる予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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