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2023 年度 実施状況報告書

再植歯の人為的髄床底穿孔と神経伝達シグナル調節による歯髄再生療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K09411
研究機関新潟大学

研究代表者

大島 邦子  新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80213693)

研究分担者 大島 勇人  新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
早崎 治明  新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
佐野 拓人  日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (90880592)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード歯髄再生 / 組織幹細胞 / 歯の再植
研究実績の概要

我々は、歯根完成歯を完全脱臼した際、再植後の歯髄再生を促す新規手法を考案するためには、まず、歯髄の血行回復が最重要であることを明らかにしてきた。これまでの研究で、歯の再植時に髄床底部へ意図的穿孔形成を施すと、歯髄内に早期の血行回復が生じ、象牙芽細胞様細胞分化が促進され、第三象牙質形成が有意に上昇することを明らかにした。これは再植時の意図的穿孔形成が術後の歯髄静的幹細胞の動態に影響を与えていると推測される。そこで今回、再植時の意図的穿孔形成が歯髄静的幹細胞の生存・賦活化にどのような影響を与えるかを検証した。
【方法】胎生期ラベリング(胎生16.5または17.5日から2日間のドキシサイクリン投与)により歯髄静的幹細胞を GFPで標識した3週齢 TetOP-H2B-GFPマウス及び3週齢 Crlj:CD1マウスの上顎両側第一臼歯を抜去後、左側(対照群)は即時再植し、右側(実験群)は髄床底に穿孔形成し抜歯窩に再植した。経時的に灌流固定し、頭部矢状断パラフィン切片を作製し、 GFPと Nestinの免疫組織化学を行った。
【結果】実験群の歯髄象牙質界面における Nestin陽性率は対照群よりも術後5日目以降で高い傾向にあった。歯冠部における実験群の GFP陽性細胞率は、術後5日目と7日目で対照群よりも有意に高かった。従って、再植時の穿孔形成による早期の血行回復は、歯髄静的幹細胞の生存を助長し、象牙芽細胞様細胞分化を賦活化すること、歯髄内への樹状細胞の遊走を促進することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

手技の確立にやや時間を要しているが、おおむね順調である

今後の研究の推進方策

1.今年度の実験系を用い、in situハイブリダイゼーション(ISH)法または定量RT-PCR法にてDspp、Opn、硬組織形成細胞マーカー(ALP)、幹細胞関連シグナル(Oct3/4、CD90/Thy1、Gli1)、細胞増殖マーカー(CyclinD1)、アポトーシスマーカー(Caspase3)遺伝子発現を解析する。
2.穿孔形成を行った抜去歯を、β3アドレナリン受容体作動薬(イソプロテレノール)をHanks液に添加した実験群とイソプロテレノール無添加の対照群に分け、5-20分間浸漬後、再植し、同様に解析する。イソプロテレノールは、吸入用気管支拡張剤として医療用医薬品として認可されているアスプール液(0.5%イソプロテレノール)を用いる。アスプール液10mL+Hanks液 500mLを基準に濃度と浸漬時間を変化させて効果を検証する。
これにより、本研究の目的である「外傷歯における人為的血流調節と神経伝達シグナル調節が歯髄静的幹細胞活性化に繋がるか」を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

今年度、申請者自身で実験手技を模索するのに時間を要したため、補助者への謝礼を必要としなかったが、その分は次年度に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Early revascularization activates quiescent dental pulp stem cells following tooth replantation in mice2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroto Sano, Kuniko Nakakura-Ohshima, Angela Quispe-Salcedo, Yasuo Okada, Takuichi Sato, Hayato Ohshima
    • 雑誌名

      Regenerative Therapy

      巻: 24 ページ: 582-591

    • DOI

      10.1016/j.reth.2023.10.004

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Effect of Intentionally Perforating the Floor of the Pulp Chamber on Pulpal Healing after Tooth Replantation in Mice2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroto Sano, Kuniko Nakakura-Ohshima, Yasuo Okada, Takuichi Sato, Hayato Ohshima
    • 雑誌名

      Journal of Oral Biosciences

      巻: 65 ページ: 31-39

    • DOI

      10.1016/j.job.2023.01.007

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] SVCT2-GLUT1-mediated ascorbic acid transport pathway in rat dental pulp and its effects during wound healing2023

    • 著者名/発表者名
      Ohkura N, Yoshiba K, Yoshiba N, Edanami N, Ohshima H, Takenaka S, Noiri Y
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 13(1) ページ: 1251

    • DOI

      10.1038/s41598-023-28197-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Prostaglandin E2-transporting pathway and its roles via EP2/EP4 in cultured human dental pulp2023

    • 著者名/発表者名
      Ohkura N, Yoshiba K, Yoshiba N, Oda Y, Edanami N, Ohshima H, Takenaka S, Okiji T, Noiri Y
    • 雑誌名

      J Endod

      巻: 49(4) ページ: 410-418

    • DOI

      10.1016/j.joen.2023.01.009

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] マウス臼歯再植後の早期血行回復は歯髄静的幹細胞を賦活化する2023

    • 著者名/発表者名
      佐野拓人、大島邦子、Angela Quispe-Salcedo、岡田康男、佐藤拓一、大島勇人
    • 学会等名
      第65回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] Effectiveness of Leukocyte- and Platelet-Rich Plasma (L-PRP) on the pulpal healing process following tooth replantation in mice2023

    • 著者名/発表者名
      Angela Quispe-Salcedo, Mauricio Zapata-Sifuentes, Taisuke Watanabe, Tomoyuki Kawase, Hayato Ohshima
    • 学会等名
      第65回歯科基礎医学会学術大会

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公開日: 2024-12-25  

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