研究課題/領域番号 |
23K09412
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
北見 公平 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20804579)
|
研究分担者 |
加来 賢 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30547542)
齋藤 功 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90205633)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 歯根膜 / 細胞外マトリックス / プロテオミクス |
研究実績の概要 |
超高齢社会となった本邦において,健康寿命の延伸により高齢者における矯正歯科治療のニーズが増加している.また欠損歯列において部分矯正が有効な症例は高齢者であることが多いが,高齢者の矯正歯科治療では若年者と比較してどのような違いを考慮すべきなのか,その臨床的なコンセンサスは得られているとは言い難い.加齢動物では矯正力に誘導される破骨細胞の活性が高い反面,歯の移動量は小さいといった報告はあるものの,高齢者の矯正歯科治療に関わる細胞生物学的なエビデンスは未だ乏しい.歯根膜には細胞外環境としての細胞外マトリックスによる幹細胞の分化制御メカニズムが存在することが強く示唆されるが,細胞外マトリックスの定量解析には技術的な課題も残されている.そこで本研究では,細胞外マトリックスのプロテオーム解析における技術的な問題点を解決し,加齢によって歯根膜組織に生じる細胞外マトリックスの組成変化を解析することにより,高齢者における矯正歯科治療で生じる組織応答の違いを明らかにするための研究計画を立案した.これまでのところ,マウス歯根膜細胞から調整した細胞外マトリックスを用いて,異なる前処理法,可溶化法により得られるプロテオームデータの比較解析を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既にプロテオームデータの取得に成功しており,概ね順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は,加齢マウス (6, 12か月)および若年マウス (2か月)の凍結組織標本から,歯根膜組織を採取し,最適化されたタンパクの前処理法を用いて細胞外マトリックスの組成解析を行う.また定量的プロテオミクスによって得られたデータから発現変動タンパクを抽出し,Gene Ontology解析により,分子機能と生物学的プロセスの変化を抽出する.さらにタンパク結合のデータベースを元にエンリッチメント解析,パスウェイ解析を行う.加齢による細胞外マトリックスの組成変化によって生じる細胞応答の変化をデータ駆動型の手法で解析する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
前処理に必要な試薬が見積もりよりも少量で済んだため,余剰金が生じた.次年度以降の解析費用に充当する.
|