研究課題/領域番号 |
23K09448
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
石川 美佐緒 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90582445)
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研究分担者 |
菅崎 弘幸 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (30333826)
和田 悟史 金沢医科大学, 医学部, 講師 (20581119)
小寺 稜 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (80823715)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 歯髄 / 歯根膜 / 高リン酸血症モデルラット / リン酸 / ピロリン酸 |
研究実績の概要 |
初めに10週齢ラットを4週間または6週間0.75%アデニン添加制限食で飼育し高リン酸血症モデルラット(実験群)(Nephron. 1986; 44: 230-4)を作製し、通常食で飼育したラット(対照群)の両者の上顎臼歯部試料をマイクロCT撮影後、切片を作製し組織染色(H-E染色)とマイクロCT画像解析データを用いて歯髄結石とセメント粒の発生時期・発生頻度について観察、比較をおこなった。 モデルラットは、4週間の実験群で血清リン酸(Pi)濃度は3.8mM/Lで対照群のそれ(Pi: 3.1mM/L)よりわずかに上昇していた。6週間の実験群で血清Pi濃度は6.8mM/Lであり、高リン酸血症モデルラットの作製ができていることを確認した。そして、マイクロCT画像解析と組織切片の観察より歯髄結石の発生率は対照群では30%であったが、4週間の実験群で90%と有意差を示した。しかし、セメント粒の発生は全ての群で観察できなかった。また、対照群の同部位の切片を用いて細胞内外のPi・ピロリン酸(PPi)の恒常性維持に欠かせないナトリウム依存性リン酸トランスポーター(Pit-1, 2)、PPi産生酵素(ENPP1)やPPi輸送タンパク(ANK)の免疫染色をおこない、歯髄腔内でのPit-1の強い陽性反応を確認した。 そして、次年度のin vitro実験で用いるラット歯髄と歯根膜の培養細胞のため、6週齢ラット切歯からそれらの細胞を採取し継代培養を開始した。標的細胞採取手技の確立のために、両細胞の特異的遺伝子の発現解析をおこない、初代培養細胞を獲得していることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯髄や歯根膜の初代継代培養に成功し、in vitroの実験が順調におこなえるようになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
初めにin vivo実験では実験群のモデルラットの切片を用いたPit-1, 2、ENPP1、ANKの免疫染色をおこない、本年度の対照群の免疫染色結果と比較検討する予定である。 in vitro実験では採取した歯髄と歯根膜の培養細胞を用いて、細胞内外のPi・PPiの恒常性維持に関わる遺伝子の発現を比較し、それら細胞の恒常的な発現の特徴について検討する。 その後、Pi濃度を上げた培養液(Pi濃度:0.9mMから6.0mM)で培養をおこない石灰化物形成の時期について比較検討する。また、それら細胞より抽出したRNAを用いてPi・PPiの恒常性維持に関わる遺伝子発現の変動について、加えて、細胞間での発現の相違について経時的な解析をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデルラットの作製が予定よりも順調におこなえたため出費を抑えることができ、差額が生じた。 しかし、次年度は in vitro実験において、分子生物学的実験を予定しており、その実験の遂行に必要な消耗品や試薬の購入に当てる予定である。
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