研究課題/領域番号 |
23K09473
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
松尾 宏一 福岡大学, 薬学部, 教授 (30709613)
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研究分担者 |
林 稔展 福岡大学, 薬学部, 准教授 (20630718)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | チーム医療 / 口腔粘膜炎 / がん薬物療法 / 口腔ケア / 薬剤師 |
研究実績の概要 |
本研究は、がん薬物療法の施行中に歯科医師から教育を受けた薬剤師が、他の症状に対する薬物有害反応に対するマネジメントと同様に定期的な口腔内の観察と指導、口腔消毒薬の使用促進と適正使用、早期症状の発見時の歯科医師への受診リンク役を行うことによって、① がん薬物療法施行に伴う口腔粘膜炎の発症率や重篤化の低下、② ①がもたらす治療強度の維持や治療遂行率の改善、③ ②がもたらす再発率や死亡率の低下効果を、実施群と非実施群による前向き検証をおこない明らかにすることを目的としている。そこで福岡大学病院において、がん化学療法の治療を受ける患者を対象に、歯科医師と薬剤師の連携による口腔ケアを実施する群と患者による自己管理群を1対1の割合で無作為に割り付けて比較する前向き無作為化臨床試験を実施しようと考えている。そのため、2023年度は本大学の歯科口腔外科学研究室との臨床研究を実施するための計画と調整を実施した。また歯科医師から薬剤師への教育を実施するための準備と調整を中心におこなった。その結果、2024年度からは本格的な研究実施のために、先ずは歯科医師から薬剤師への口腔ケアマネジメント教育を早期に実施していく予定である。また対象とするレジメンを実施する診療科とがん薬物療法中の口腔ケア実施に伴う計画を精査していくこととする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
遅延の理由は、学部内の体制が変化したことによる、1)研究代表者の学部内研究室の変更および新たな研究室の体制を構築する必要性が生じたため、また2)共同研究者の新たな研究室への採用の為に歯科医師から薬剤師への教育の実施開始を遅らせたため、以上により遅延が生じた。令和6年度に入り、予定された新たな研究体制が整備が済んだので出来るだけ早期から研究が実施できるようにして、これまでの遅延を解消できるように努めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、福岡大学病院において、がん薬物療法施行時に歯科医師と薬剤師の連携による口腔ケアを実施する群と患者による自己管理群を1対1の割合で無作為に割り付けて比較する前向き無作為化臨床試験を実施する。その際に薬剤師が定期的な口腔内の観察と指導、口腔消毒薬の使用促進と適正使用、早期症状の発見時の歯科医師への受診リンク役を行うことだけのスキルを身に付けることが非常に重要である。そのためにも本大学の歯科口腔外科学研究室の協力を仰ぎながら、薬剤師が技術を身に付けることに尽力する。さらに薬剤師が口腔ケアが可能となった後には、早期にで福岡大学病院において、乳がんに対してTAC療法(ドセタキセル+ドキソルビシン+シクロホスファミド)などの治療を受ける患者を対象とした臨床試験を早期に開始が出来るように準備していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
歯科医師による我々への講習などが遅延したことに伴い、当初行う予定にしていた前向き研究を実施することができなかった。そのため、それらにかかる講師料や消耗品の購入等が発生せず、次年度使用が生じた。令和6年度は予定していた講習や前向き研究を実施する予定にしているので、その費用に充当したいと考えている。
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