研究課題/領域番号 |
23K09481
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
日野出 大輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (70189801)
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研究分担者 |
福井 誠 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (50325289)
吉岡 昌美 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (90243708)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 行動変容 / コホート研究 / Motivation Scale Score / 歯間部清掃用具 / 分岐毛先歯ブラシ / クロスオーバー試験 / 国際保健介入 / 指導用媒体 |
研究実績の概要 |
観察研究では、行動変容に関するコホート研究において歯周状態等をアウトカムとし、Motivation Scale Score(MSS)を用いた解析から、歯周基本治療前後の効果因子を見出すことを目的とした。歯科診療所を初診で受診した歯周病患者 221 名を対象とした分析の結果、MSSは信頼性と妥当性の点で有用であった。ベースライン時BOP10%未満の者はMSSおよびMSS-Factor 1(口腔衛生習慣)が有意に高く、年1回の歯科健診受診,歯間部清掃用具を使用している者では,MSSおよびMSS-F1が有意に高かった.二項ロジスティック回帰分析では,ベースライン時BOP10%以上と統計学的に有意な関連を認めた因子は歯間部清掃用具の使用であった.口腔状態および口腔保健行動項目は歯周基本治療後に良好な改善を認め,特に歯周基本治療後PCR20%未満の者はMSSが有意に高く,歯間部清掃用具の使用においてMSS-F1が有意に高かった。したがって,高いモチベーションが歯間部清掃用具の使用により歯周病患者の口腔保健行動の改善に対するコンプライアンスに影響を与え,良好な口腔状態を導いた可能性が示唆された. 臨床介入研究では、徳島大学病院の歯科受診患者50名に対して、試作の分岐毛先歯ブラシと対照となるスーパーテーパード毛歯ブラシを用いたクロスオーバー試験を実施し、その歯垢除去効果を解析中である。また、国際保健介入研究では、インドネシアの大学生71名を2群に分け、介入群(31名)へ作成した指導用媒体をYouTube活用により21日間利用させて、行動変容および口腔衛生状態・歯周状態の改善やう蝕リスクの低減効果をコントロール群(38名)と比較して分析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では以下の3つの研究を実施している。1.観察研究では、MSSを持いた行動変容に関するコホート研究から、高いモチベーションが歯間部清掃用具の使用により歯周病患者の口腔保健行動の改善に影響を与えるなどの成果が得られ、英語論文として学術雑誌への投稿・掲載ができた。2.臨床介入研究では、試作の分岐毛先歯ブラシの有用性を検証するクロスオーバー試験を実施し、現状において、その歯垢除去効果をしめす予備的な結果を得ている。3.国際保健介入研究としてインドネシアの大学生71名を対象とした研究はほぼ終了しており、現在、解析を行っている。このように、当初に計画した3つの研究はそれぞれ順調に進んでいるので、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の2つの研究を遂行していく。まず、臨床介入研究では、分岐毛先歯ブラシとケミカルテーパード毛歯ブラシの歯垢除去効果を検証する。すでに、患者へのクロスオーバー試験をほぼ終了している。今後も研究補佐員を雇用して、臨床データの整理や集計、さらに2種の試作歯ブラシの歯垢除去率を比較し、その効果を検証する。また、得られた成果は、国内学会や国際学会にて発表予定である。 一方、国際保健介入研究においては、インドネシア語の指導用媒体を作成し、スマートフォン利用が可能なコンテンツを、21日間のICT健康教育としてYouTube活用できる状態に準備した。さらにこれらを利用したインドネシアの大学生71名に対する介入研究をほぼ終了した。今後は得られたデータの整理や集計、さらに介入研究結果の解析を行ない、ICT健康教育としてスマートフォン利用が可能な作成コンテンツの有用性を検証する。得られた成果は国際学会にて発表予定である。また、研究が順調に進めば、海外学術雑誌への論文投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
観察研究に関する投稿論文を海外のオープンアクセス英語雑誌から国内雑誌の英文投稿へ変更を行ったため、経費が削減された。 また、臨床介入研究では、徳島大学病院の患者を対象としたクロスオーバー試験を実施中であるが、主に研究代表者および分担者による研究の遂行で、研究補佐員による関与が少なく、そのための謝金等の経費が削減されて、次年度使用額が生じた。翌年度分の研究費と併せて、クロスオーバー試験から得られたデータの解析により歯垢除去効果を検証する際に研究補佐員を引き続き雇用し、謝金等の経費として使用する予定である。
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