研究課題/領域番号 |
23K09497
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
釘宮 嘉浩 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 歯科医師 (60844082)
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研究分担者 |
五十嵐 憲太郎 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (00843971)
古屋 純一 昭和大学, 歯学部, 教授 (10419715)
村上 正治 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 歯科医師 (10752016)
中村 純也 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 歯科医師 (20967666)
渡邊 裕 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (30297361)
枝広 あや子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90433945)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 認知症 / 歯科医師 / 認知症専門医 / 医科歯科連携 |
研究実績の概要 |
超高齢社会の日本において、認知症は既に歯科医療従事者にとって身近な疾患のひとつとなった。認知症に関する国家戦略である認知症施策推進大綱においても、歯科医師は認知症の早期発見・早期対応の一端を担うことを期待されており、認知症対応力の向上や口腔機能の管理、かかりつけ医との連携が求められている。認知症専門医と歯科医師を対象として認知症者の医療連携に関する意識調査をWeb上で実施したところ、認知症専門医、歯科医師ともに医科歯科連携の重要性を強く認識しており、両者の有機的連携の素地は十分にあることが示された。一方で、臨床の現場で実際に医科歯科連携が行われている場面は未だに少ないことも明らかとなった。認知症施策推進大綱の重要業績評価指標のひとつである歯科医師認知症対応力向上研修の受講者数は2023年6月末時点で2025年の目標値の62.7%であり、かかりつけ医や薬剤師、看護師等の他の医療職種と比べて低い値となっている。認知症者を日常生活圏域で支える社会の実現を目指すため、歯科医療従事者は今後より一層認知症に関する知識を深め、関連職種との連携強化を図る必要がある。歯科医師認知症対応力向上研修への参加や自身の地域の認知症ケアパスの把握に止まらず、多職種連携研修会や認知症疾患医療センターの主催する研修会へ参加し、市町村単位で顔の見える関係を構築するといった端緒を開くための積極的な取り組みが必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、もの忘れ外来受診患者を対象として軽度から中等度のアルツハイマー型認知症者のサンプリングを行うことを想定していた。しかしながら、もの忘れ外来受診患者のみでは解析に耐えうるサンプルサイズに満たない可能性が明らかとなった。2023年度の研究活動の停滞を防ぐため、対象者を回復期リハビリテーション病棟入院患者に拡大し、認知機能の評価および口腔内環境の評価を実施することとした。得られた結果は随時学会発表を行っている。また、認知症専門医および歯科医師を対象として、認知症者の医科歯科連携に関するアンケート調査も実施した。これにより、認知症者を取り巻く医科歯科連携の現状を明らかにすることができた。本結果は、学術雑誌に投稿中である。 以上から2023年度の進捗状況は「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
アルツハイマー型認知症者のサンプリングが困難であったため、2023年度は対象者を回復期リハビリテーション病棟入院患者に拡大する対応を行った。その結果、認知機能の低下が軽度の段階から口腔のセルフケア能力の悪化が始まっている可能性が示唆された。2024年度は、対象者を軽度認知障害患者まで拡大するため、地域在住高齢者を対象とした大規模調査の実施を予定している。また、調査実施と並行してレトロスペクティブなデータ解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、研究デザインの変更により使用予定であった消耗品等の購入個数が減ったことに加えて、Webアンケートによる調査に切り替えたため、想定した予算額以下で研究を遂行できた。2024年度は、対象者を地域在住高齢者に拡大し、大規模調査を実施することを予定している。次年度繰り越しの残金は、消耗品等の購入および、新たに得られた知見の報告(学会発表や学術雑誌投稿等)での使用を予定している。
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