研究課題/領域番号 |
23K09542
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
大杉 夕子 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40273669)
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研究分担者 |
池亀 和博 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20372609)
脇本 裕 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20771215)
小澤 美和 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 部長 (40224224)
藤森 麻衣子 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 室長 (40450572)
多田 雄真 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 血液内科診療主任 (90792052)
吉田 沙蘭 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (70636331)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 妊孕性 / AYA世代 / 情報提供 / 質問促進シート |
研究実績の概要 |
adolescent and young adult(AYA)世代のがん患者さんにとって治療前の妊孕性に関する情報は知っておきたい情報の一つである。ガイドラインの作成、生殖医療ネットワークの構築、ナビゲーターの育成、種々のパンフレットの作成などにより妊孕性温存に関する情報提供の体制は整いつつあるが、診断時は小児がんで幼少であった、パートナーがおらず、妊娠や結婚が身近な問題でなかった、治療中は病気の事以外の事を考える余裕がなかった、などの場合、患者さんにとって、結婚、妊娠が、時間をおいて具体的な問題になってくる。 本研究では、医療者との面談にのぞむ患者さんに提示することで、患者さんが医療者に質問しやすくなり、妊孕性に関する疑問や悩みを解決する手助けになる質問促進資材(question prompt sheet:QPS)を作成する。 QPSは患者さんが持つ疑問、医療者が患者さんから受けた相談をもとに作成する予定で、今年度は、2023年6月27日に兵庫医科大学の倫理審査の承認(第4441号(202308-075))を得て、2024年1月まで、がんの診療、妊孕性温存、不妊治療に関わる医療者、治療経験者から、妊孕性に関するインタビューを行った。 作成したQPSは10代から25歳までのAYA世代がん患者さん、治療経験者を対象に、実際に使用してもらい無作為割り付け試験により有効性についても検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊孕性に関してAYAがん患者が抱える疑問や問題を抽出するため、医療者(AYAがん患者の診療にかかわる医療者(治療医、看護師、心理士、移植コーデイネーター(HCTC)、メディカルソーシャルワーカー(MSW)、生殖医療センターの産婦人科医、専門看護師、薬剤師)、治療経験者(小児がん経験AYA患者、AYAがん治療経験者)を対象に半構成的面接を行った。 2023年6月に兵庫医科大学倫理審査委員会の承認を経て2024年1月末までに、治療経験者(男性8名、女性8名、固形腫瘍9名、血液腫瘍7名、15歳未満発症9名)、医療者(成人腫瘍医2名、小児腫瘍医2名、産婦人科医2名、看護師4名、MSW 1名、HCTC 2名、心理士2名、薬剤師1名)各16名の協力が得られた。最低各10名を予定していたが、協力者が各16名と増えた為、解析に時間がかかっているが、進捗は概ね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度行った医療者、治療経験者治療経験者のインタビューの結果に基き、次年度はQPSの作成を行う。インタビューから患者さん、治療経験者が持つ質問を抽出し、項目により分類分けを行う。作成されたQPS(案)は、インタビュー協力者にも確認をとり実用的かどうかの検証を行って完成させる。 QPS作成後はQPSを用いた無作為割り付け試験を行い、診断時年齢が15歳から25歳の小児がん、AYAがん経験者で、現在25歳以下のサーバイバーを対象にQPSの有用性を問う質問紙(医師に質問をしやすくなったか、妊孕性について理解が深まったか、今後も疑問が生じたときに使用するか、等)を面談前に渡し、作成資材の試用と有用性の評価を行う。①がん治療後の妊孕性に関する面談(妊孕性温存の面談を含む)を予定している患者に対して試験の同意を得る ②QPS使用、未使用例(対象群)を無作為に割り付けし面談後、質問紙に回答してもらい、事務局で回収する。主要評価項目は、妊孕性に関する面談時にQPSを使用した場合の有用性(疑問に思うことを質問できたか)副次的評価項目として、2.QPS使用例の、患者の面談後の満足度(質問により疑問が解決できたか)3.QPS使用例の、今後の面談時のQPS使用希望の有無 4.QPS未使用患者の、QPS使用希望の有無とする。目標症例数は60例を目標とする。1年間を目標に行い、最終的に、回収した調査票を解析し、有用性の有無、問題点と併せて評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、データ解析に必要な経費が予定より少なくなった。未使用の研究費は2024年度の研究費(学会参加費、会議費、交通費)として使用する。
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