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2023 年度 実施状況報告書

”希少”および”遺伝性”に着目した希少遺伝性疾患診断後の患者・家族支援方法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23K09548
研究機関岡山大学

研究代表者

岡崎 哲也  岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (30465299)

研究分担者 足立 香織  鳥取大学, 研究推進機構, 准教授 (50609237)
笠城 典子  鳥取大学, 医学部, 准教授 (60185741)
前垣 義弘  鳥取大学, 医学部, 教授 (80252849)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード希少遺伝性疾患 / 患者・家族支援 / 遺伝カウンセリング / 遺伝学的検査 / ゲノム医療
研究実績の概要

希少遺伝性疾患診断後の患者・家族は、“希少疾患”ゆえの医学的エビデンスや支援体制の不足に加え、“遺伝性疾患”という特性から診断後、新たに不安、受容の困難さ等を抱くことが指摘され、ゲノム医療推進の重要な課題となっている。本研究ではこの課題に対する支援方法の確立を目的とする。本研究の成果としての支援モデルは、急速に進展する国内のゲノム医療において、国民が遺伝子診断の意義、利益を享受するために必須のものである。本年度は以下を行い、研究を進めた。
米国U.C Davis MIND instituteを訪問の上、米国での遺伝学的検査の活用状況、診断後の体制についての情報収集を実施した。医師、看護師、心理職等、多職種が診療、研究に関わっていること、遺伝学的検査が診療内で重要な位置付けになっている点は国内同様であった。一方、治療研究がより活発に行われている点が大きく異なる点であった。直接の治療ではなくとも、症状の改善、軽減に寄与する治療ができるかもしれない期待も、疾患受容の大切な要素であるという意見を、医療者から聞くことができた。
また、脆弱X症候群の患者・家族がオンラインでコミュニケーションを行うイベントを4回開催した。毎回、アンケートの中で、日常生活での課題等といった内容を把握し、解決方法に関する議論や情報収集等を実施している。
現在、国内では遺伝学的検査の保険適応の拡大が少しずつ進んでいる。2021年に保険収載されたマイクロアレイ染色体検査では従来の染色体検査では診断できない、微細な染色体異常が検出可能である。診断方法の動向も本研究に関連するため、自施設での同検査の実施状況をまとめ日本遺伝子診療学会で発表した。
これらの実績から得られた知見を踏まえて、今後本研究で実施する半構造化面接やアンケート研究の準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では半構造化面接やアンケート調査を今後実施する。これらにあたり、国内外での希少遺伝性疾患診療における状況、課題を収集している。具体的には文献検索および国内外での情報収集を施設訪問や学会参加、患者・家族が集う機会等から行った。本研究は治療法開発研究ではないが、米国で盛んに実施されている治療研究は、実施されている事実自体が疾患の患者・家族にとっての支えになりうるという意見があった。これは国内のドラッグロスの課題ともリンクし、本研究での重要な内容の一つに挙げることとした。遺伝性疾患の患者・家族が参加するオンラインイベントの機会を定期的に設けており、その中で日常生活や成長過程での課題をアンケート等から挙げてもらい議論を行っている。今後の半構造化面接やアンケート研究において、患者・家族の実際の声を事前に把握しておく必要があり、この点も本年度に実施した。遺伝学的検査の動向を把握することも本研究では重要であり、2021年に保険収載されたマイクロアレイ染色体検査の自施設での実施状況をまとめ、日本遺伝子診療学会で発表した。
やや遅れている原因として、研究代表者の異動があったことが挙げられる。ただし、研究実施環境としては大きな変化はなく、ほぼ予定通り研究を進めることができると考えている。

今後の研究の推進方策

令和6年度は、患者数が少ない希少遺伝性疾患症例の患者・家族を対象として、半構造化面接でデータを収集し仮説モデルを作成する。具体的には、令和5年度に収集した情報を元に質問項目を作成する。希少疾患では国内各地に患者・家族がいるために、オンラインあるいは電話で実施する。令和5年度1月に研究代表者の異動があったが、令和6年中頃には開始できるように進める。
次の段階として、得られた仮説に基づき質問紙を作成し、多くの症例を対象とした関連検証、因果関係検証研究に発展させる。さらに遺伝形式や症状、疾患の患者数といった背景の考察結果を踏まえ、疾患や遺伝形式、症状等に応じた支援モデルを示す。令和7年度のアンケート研究の成果を踏まえ、学会発表、英文論文の形で成果公表を行う。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由として、研究代表者の異動があったため、予定していた情報収集を目的とした学会参加(第46回日本小児遺伝学会学術集会等)や遺伝カウンセリング関連書籍、記録媒体等の購入等が予定通りにできなかったことが挙げられる。
次年度は患者・家族が参加するイベントや国内外の関連施設や学会等にて情報収集を引き続き継続するとともに、具体的な半構造化面接やアンケート調査等を行う予定である。次年度使用額等はこれらを進めるにあたっての書籍購入や旅費、アンケート調査、学会発表における印刷、ポスター作成、英文校正等に用いる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 鳥取大学医学部附属病院における保険診療でのマイクロアレイ染色体検査の有用性と課題の検討2023

    • 著者名/発表者名
      岡崎哲也
    • 学会等名
      第30回日本遺伝子診療学会大会/第8回クリニカルバイオバンク学会シンポジウム合同学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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