研究課題/領域番号 |
23K09552
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
林 宏祐 大分大学, 医学部, 特任助教 (40938990)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | クリニカルイナーシャ / 心不全 / アプリ / ナッジ |
研究実績の概要 |
本年度は、まず研究で使用するアプリのプロトタイプを完成させ、そのユーザビリティを確認するパイロット試験を倫理審査委員会の承認を経て実施した。5人の慢性心不全患者を組み入れ(平均年齢54.5歳)、外来、外来間で実際に自宅でアプリを使用してもらい、アプリを用いた診療を行った。アプリの利用率は良好で、最初の28日間のアプリへの平均データ入力率(体重、血圧、脈拍等)は99.1%であった。またソフトウェアのユーザビリティを評価するSUS(System Usability Scale)の平均点は85.0点であり、アプリの高いユーザビリティが示唆された(68点以上がhigh usabilityのベンチマークとされる)。上記の結果から、アプリの患者に対する認容性と、その高い操作性が示唆された。パイロット試験の結果は英文学術誌へ短報として公表した。また、アプリのアルゴリズムおよび画面意匠に関しては、特許出願、意匠出願を行った。 定性的なアンケートからはいくつかのユーザビリティ上の問題点(画面遷移やボタン配置等)が浮かび上がり、再度大分大学理工学部の開発チームと協議の上、アプリの改修を行った。改修されたアプリは再度研究者内部のテストで評価され、今後の臨床試験に耐えうるものと判断された。 パイロット試験の結果をもとに、本研究の目標であるアプリの有効性(アプリの使用により心不全のガイドライン推奨治療薬の投薬量増加につながるのか)を探索的に検証する試験の試験計画立案を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたパイロット試験までは順調に実施することができた。研究代表者が異動するに伴い、アプリの有効性を探索的に検証する試験の倫理申請が遅れており、上記とした。
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今後の研究の推進方策 |
作成した研究計画書を倫理審査委員会へ申請し、受理されたのちにアプリの有効性を探索的に検証する試験の実施を開始する。2025年度内の組み入れ完了を見込んでおり、順当にいけば2026年度には結果を公表できる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初令和5年度のうちにアプリの効果を検証する探索的臨床試験を開始する予定であったが、その開始予定が令和6年度にずれ込んだため、次年度使用額が生じることとなった。次年度使用額については、令和6年度より開始するアプリの探索的臨床試験の試験運用費用及びアプリの保守点検費用に使用する予定である。
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