研究課題/領域番号 |
23K09593
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高屋敷 明由美 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80375500)
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研究分担者 |
前野 哲博 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40299227)
前野 貴美 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80528480)
小曽根 早知子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80645549)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 健康の社会的決定要因 / Social Empathy |
研究実績の概要 |
研究の目的は、以下の3点を明らかにすることである。 1)医学部入学生が卒業するまで、社会共感力はどのように変化するのか、2)5-6年次のSDHプログラム前後の社会共感力の短期的な変化、3)どのような要素(基本属性や、経験、教育介入)が社会共感力のpositiveな変化に影響するのか、どのように影響するのか。 これらの目的に沿って、筑波大学医学類において研究者らが担当する社会共感力涵養のための1~6年の各学年に設置している医療概論Ⅰ~Ⅴのカリキュラムの改善を行いつつ、本学1年、4年、6年生を対象に社会共感力スケール(Social empathy Index;以下SEI)日本語版を用いた自記式アンケートによるコホート調査を実施している。2023年度は、計画書に沿い。1,4,6年の医学生全員を対象にしたアンケートを実施した。同時に、本研究のパイロット調査として2022年度に実施した3学年の横断調査データの解析を行い、日本医学教育学会学術大会およびWONCA(World Organizaion of Family Doctors)の学術大会(Sydney, Australia)で成果発表を行った。前者では、3学年のクロス集計では4年生でSEIが低かったことを発表、後者では6年生の社会共感力と関連する因子の解析結果から、健康の社会的決定要因についてよりよく理解している学生は、SEIの総合得点が有意に高く、SEIの構成要素のうち対人関係の2つの要素(感情的メンタライジングとパースペクティブ・テイキング)と社会的共感の1つの要素(制度的障壁の文脈的理解)の得点が高かったこと、留学経験のある学生でも類似の傾向が観察されたことなどを発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パイロット調査として実施した2022年度のコホート調査初年度の医学生3学年のデータを用いた中間解析の実施・結果の公表を行い、更に科研費初年度にあたる2023年度(コホート2年目)の3学年の調査をデータの収集・入力を終了している。同時に、本テーマを扱う、本学の1-5年次の医療概論のカリキュラムの改善にむけての国内外での情報収集、関係者協議も進行したため、順調な進展と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、計画書のとおり本学4,6年生に対するSEIのアンケート調査を実施する。また、2023年度データを用いた単年度のクロス集計から、2022年度データの傾向との相違の有無を検討する。 健康の社会的決定要因の理解をねらいの一つする本学の6年間の医療概論の教育カリキュラムの改訂については、2023年度の検討結果をカリキュラムに反映させて実施すると同時に、医学教育関係の国際学会に参加し、さらなるカリキュラムの改善および必要なFaculty Developmentのための情報収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に予定している本テーマに関する領域の教育についての情報収集のために国際学会参加を計画したため、その旅費・その他費用確保が必要になった。そのため2023年度の残額を次年度に繰り越し、次年度予算と合わせて、そのために使用する計画に変更した。
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