研究課題/領域番号 |
23K09614
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研究機関 | 宮崎産業経営大学 |
研究代表者 |
川島 秀樹 宮崎産業経営大学, 経営学部, 教授 (90516931)
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研究分担者 |
白木 秀典 千葉商科大学, 経済研究所, 研究員 (10614373)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | ネットワーク化 / 病院建替え / 情報ネット化 / 地域包括ケア / 民間病院との関わり / 病床の機能分化 / 後方支援体制 / 軽症急性期 |
研究実績の概要 |
公立病院で再編した前後の経営状況を数量的にデータサイエンスの手法を使って計測した。明らかにしたのは、ネットワーク化を行った病院の経営効果を見ることである。6病院の中で病院建替えに伴うネットワーク化の病院(①桑名市総合医療センター、②南奈良総合医療センター、③青森県つがる総合病院、④日本海総合病院)、情報ネットワーク化をおこなっている病院(⑥島根県立中央病院)、地域の人口減少と過疎化に伴い、地域医療機関、福祉施設との連携を深め、地域包括ケアシステムを推進している病院(⑤公立世羅中央病院)について経営状況を考察した。 病院建替えに伴うネットワーク化の病院は、労働生産性は高く、高度医療、高機能で、再編統合した病院よりもコストがかからない(中コスト)。また、患者1人1日当たりの診療収入に関して、公立病院、独立行政法人の平均診療収入並みを得ている(中単価)。一般的に医療圏で10万人以上 の人口があるところでは、成功していると考えられる。また、島根県立中央病院のような情報ネット化を実施している病院は、徐々に労働生産性を上昇させている。さらに、公立世羅中央病院のように地域包括ケアシステムを推進している病院は、労働生産性は高くないが、低コスト、低単価であった。 次に、統合再編・ネットワーク化を行った病院について、民間病院にどう影響をもたらすのか、その関わりについて考察した。ネットワーク化成功事例の病院は、病床の機能を分化し、患者の状態に応じて必要な医療を受けられる体制と、一つの病院で入院を完結するのではなく、地域全体で患者を支える後方支援の体制をとっていた。また、近隣の民間病院は後方支援病院として、軽症急性期や回復期病院としての生き残りを図っていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ネットワーク化の病院について、現状分析を行えた。 DPCデータ分析も、手作業ながらも順調に解析している。 DPCデータを分析する手法として、データサイエンスの手法を用いてPythonプログラムによる欠損値データ処理も簡単に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、医療経営データとDPCデータを作成する。総務省公立病院財務諸表データ、病院経営データ、DPCデータを全国の公立・公的病院から集めて、データの前処理を行う。 DPCデータでは、①病院機能評価の個票、②DPC退院患者のデータが揃っている。病院の診療機能とそのレベルが同じフォーマットで4年分くらい報告されてまとめられている。施設毎時、ベッドの病棟毎の機能(ICUとか地域包括ケア病床など)、患者数や在院日数、施設基準、医療機器、人員体制がわかるので、どの程度の実力の病院かがわかる。 ②のDPC退院患者のデータは診療データを簡略にまとめたもので、DPC制度に参加している 急性期病院のデータである。診療内容をさらに細かく、臓器別、病名毎にそろえたものを患者数、平均在院日数、手術のありなしとともに発表している。これらのデータを総務省の病院事業決算状況・経営分析比較表、その他の医療経営データをソートキー(①施設コード(都道府県番号(2桁)+ 医療機関コード(7桁))②年度)を用いてマッチング処理を行う。これらを、AccessやSQLiteデータベースに登録する。
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次年度使用額が生じた理由 |
AIマシンを購入しなかったのが差額の理由である。
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