研究課題/領域番号 |
23K09646
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
菱田 朝陽 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40447339)
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研究分担者 |
問山 裕二 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00422824)
川口 晃司 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (10402611)
奥川 喜永 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (30555545)
永吉 真子 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (30728960)
田村 高志 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (70736248)
山田 宏哉 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (80610352)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ゲノム疫学 / マイクロRNA / がん早期診断マーカー / 消化器がん / 肺がん |
研究実績の概要 |
今年度は研究代表者の機関移動もあり、研究体制の立ち上げとともに公開データを用いた解析研究を行った。具体的には、下記の3つの研究(体制準備も含む)を実施した。①肺がん臨床検体及び、対照検体の収集の体制構築を開始した。②膵臓がん早期診断に有用なマイクロRNA(miRNA)に関するメタ解析を行った。③がんにおける公開大規模miRNA発現データと独立したmiRNAシーケンスによる発現データを用いて、in silico解析を行った。①に関しては、名古屋大学 呼吸器内科学・呼吸器外科学、伊賀市立上野総合市民病院の協力下で現在倫理審査手続き等、検体収集体制を構築中である。②については、PubMed等公開文献データベースを用いて、膵臓がんの早期診断に有用な40文献に基づくmiRNAによる膵臓がん早期診断能についてのAUC(Area Under Curve)のメタ解析を行い、4つの膵臓がんを高精度に診断可能なmiRNAを見出した。我々はこれら4つのmiRNAとmiR-1307(Hashimotoら、2021)の5つのmiRNAによる膵臓がんの診断能を、独自に伊賀市立上野総合市民病院で収集した8例の膵臓がん血清検体と16例の健常人対照血清検体を用いて検証し、3つのmiRNAの組み合わせにより、AUC=0.922(感度69%、特異度81%)と高精度に診断可能であることを見出だし、学会発表を行うとともに論文原稿を準備中である。③については、マイクロアレイを用いて得られた13種類、9,921例のがんの公開miRNA発現データ(GSE211692)を用いて判別に有用なmiRNAを抽出し、既報にあるがんの発生由来のmiRNA発現による判別能を、独立NGSデータ(肺がん[内胚葉由来]28例、髄膜芽腫[外胚葉]4例、卵巣がん[中胚葉]179例にて検証し、100%の予測能が得られたので成果報告準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が令和5年10月に名古屋大学予防医学分野から愛知医科大学公衆衛生学講座の教授に異動したため、新環境での研究・教育環境を新たに立ち上げなければならず、研究体制の構築に時間を要している。現在、名古屋大学医学系研究科 呼吸器内科学・呼吸器外科学の協力下で倫理審査手続きを含めた検体収集体制の構築中であり、新たに愛知医科大学公衆衛生学講座にmiRNA実験のためのウェット・ラボとデータ解析のためのドライ・ラボの研究体制を、インフラや人材採用も含めて準備中であるため、本研究のデータ解析には未だ着手出来ておらず、その代わりに公開データベース(PubMedなどの文献データベース、GEOなどの遺伝子発現データベース)を用いたメタ解析やin silico解析を行い、将来の肺がんや膵臓がんをはじめとする消化器がんを含む、ヒトの各種がんの早期診断に有用な候補miRNAの選定作業を進めると共に、成果報告の準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は名古屋大学呼吸器内科・呼吸器外科からの血液検体収集体制を確立するとともに、新たに異動先の愛知医大公衆衛生学講座にウェット・ラボとゲノム情報・miRNA発現統計解析のドライ・ラボを立ち上げ、10万人のゲノムコホートである日本多施設共同コホート研究(J-MICC Study)の1地区としての伊賀市コホート研究のデータと検体を有し、J-MICC Study全体のGWASデータの解析可能でもある立場の強みを活かして、ゲノム情報とmiRNAをはじめとするがん早期診断に役立つ各種血中バイオマーカー研究の実施体制を構築し、分担研究者とも連携を取りながら研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の人事異動があり、名古屋大学大学院医学系研究科 予防医学(准教授)から令和5年10月に愛知医科大学公衆衛生学講座(教授)に異動したため、異動後の教室における研究・教育環境の立ち上げと整備に時間を要し、研究における倫理手続きを含め手続きが必要となり、研究実施体制の立ち上げに当初予定に比べて大幅に時間を要したため。
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