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2023 年度 実施状況報告書

ヒトiPS細胞を用いた中皮腫治療基盤の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23K09654
研究機関獨協医科大学

研究代表者

藤田 博美  獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (60142931)

研究分担者 若尾 宏  獨協医科大学, 医学部, 教授 (10280950)
杉本 智恵  獨協医科大学, 医学部, 准教授 (60469955)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードMAIT細胞 / iPS細胞 / 血液幹細胞 / 分化誘導 / 抗がん / キメラ抗原受容体(CAR)
研究実績の概要

2023年度はヒトMAIT細胞由来iPS細胞(MAIT-iPS細胞)からMAIT様細胞(reMAIT細胞)への分化誘導について検討した。reMAIT細胞を用いたがんの細胞治療を実施するためにはreMAIT細胞の調整にあたって、牛胎児血清などに代表されるxenobioticsの使用を回避する必要がある。また、従来の方法ではMAIT-iPS細胞からreMAIT細胞への分化効率が低く、in vitroでの実験に必要なMAIT細胞数を十分に取得できなかった。そこで、これらの課題を解決するためにxenobioticsを使用しない分化誘導の確立とreMAIT細胞分化効率の改善を目指した。iPS細胞からのreMAIT細胞への分化誘導は2段階ステップからなる。第一はMAIT-iPS細胞からの造血幹細胞様細胞への誘導である。フィーダー細胞・牛胎児血清を使用せず、マトリックスタンパク質上でMAIT-iPS細胞を培養・分化誘導してCD34を発現する造血幹細胞様細胞を得た。次にT細胞分化に必須のシグナル分子であるdelta-like 1 (DLL1)を強制発現させたマウス骨髄細胞(造血支持機能を有する)と造血幹細胞様細胞との3次元培養をxenobioticsを使用しない培地にて行なった。培養1ヶ月後にreMAIT細胞の生成をフローサイトメトリーにて解析したところ、MAIT細胞検出試薬である5-OP-RU-MR1-tetramerによって認識される細胞集団が確認された。以上から、MAIT-iPS細胞からxenobioticsを使用しないでもreMAIT細胞を分化誘導できることが確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では2023年度からMAIT-iPS細胞にキメラ抗原受容体(CAR)を遺伝子導入してCAR発現reMAIT細胞を分化誘導する予定であった。しかし、従来のフィーダー細胞や牛胎児血清を用いる方法ではreMAIT細胞の産生数とその品質に課題があった。そこで、フィーダー細胞や牛胎児血清を用いない技術にてreMAIT細胞を産生することが可能となった。当該技術の確立を1年以内に終了させることができたので、CAR遺伝子のiPS細胞への導入やこの
iPS細胞からCARを発現するreMAIT細胞(CAR-reMAIT細胞)の分化誘導に道が拓けた。

今後の研究の推進方策

今後の予定は以下の通りである。
1. がん特異的抗原を認識するCAR遺伝子をMAIT-iPS細胞に遺伝子導入し、これをCAR-reMAIT細胞へと分化誘導する。
2. CAR-reMAIT細胞を用いて当該がん抗原を発現するヒトがん細胞に対する細胞傷害活性を測定する。
3. ヒトがん細胞株を移植した高度免疫不全マウスを用いてCAR-reMAIT細胞によるがん再発予防、並びにがん治療が可能か否かを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

本研究実施にあたり、細胞培養用の牛胎児血清の購入費用が100万円を超えると見込まれたが、その代替品として合成培地を購入したため、余剰が生じた。2024年度以降は合成培地を使用したiPS細胞からのCAR-reMAIT細胞分化誘導とその抗がん活性解析を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Mice Generated with Induced Pluripotent Stem Cells Derived from Mucosal-Associated Invariant T Cells2024

    • 著者名/発表者名
      Sugimoto Chie、Fujita Hiroyoshi、Wakao Hiroshi
    • 雑誌名

      Biomedicines

      巻: 12 ページ: 137~137

    • DOI

      10.3390/biomedicines12010137

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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