研究課題/領域番号 |
23K09683
|
研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
柿本 幸子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主幹研究員 (80291219)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 水銀 / カドミウム / 鉛 / フェニル誘導体化 / GC/MS |
研究実績の概要 |
本研究では、重金属の有機化合物を形態別に分析し、個々の有機化合物について精度の高い暴露情報を得る目的で、GC/MSを用いた重金属一斉分析法の構築を試みた。 まず、GC/MSを用いた重金属分析法を構築する基礎データを得る目的で、種々の重金属を含む混合標準溶液をフェニル誘導体化し、GC/MSを用いて測定した。それぞれの金属元素の質量数にフェニル基の質量数77を積算した質量数のSIMを描画したところ、 数本のピークが検出された。その質量数から推測される各種金属元素については、フェニル誘導体化した後、GC/MSで測定可能と考えられた。 次に、無機水銀の分析法を検討した。メチル水銀同様、無機水銀についてもフェニル誘導体化することによりGC/MSで測定することができた。一方、魚介類の水銀分析法を用いて無機水銀の分析を検討したところ、脂質除去の目的で使用するHLB固相抽出カラムから無機水銀が溶出されなかった。そこで、水銀標準品を添加したブリの抽出溶液を用いて、脂質除去効果のある各種カートリッジカラムや分散固相を用いて脂質の精製法を検討した。その結果、EMR-Lipidが有効であることが分かった。EMR-Lipidは、極性やイオン性の保持ではなく、脂肪酸の側鎖構造を特異的に保持することから、他の製品と比較し、水銀の回収率には影響を与えずに脂質のみを除去できたと考えられた。 さらに、重金属の有機化合物の標準品について情報収集を実施した。分析法構築に用いる目的で、カドミウム、鉛の有機化合物を購入した。併せて、カドミウム、鉛の有機化合物に関する文献調査を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
勤務先である研究所の統合に伴う業務が多忙で、本研究を遂行する時間を十分に確保できなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
水銀、メチル水銀のフェニル誘導体化条件を他の重金属に応用する。一斉分析可能な誘導体化試薬の探索および誘導体化条件の最適化を行う。また、EMR-Lipidなど数種の固相抽出カラムを用いた食品中の脂肪酸などを除去する方法を検討し、分析法を最適化する。分析感度向上のために、従来のGC/MSではなくGC-MS/MSを使用し、測定条件の検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、カドミウム、鉛、水銀の化学形態別の一斉分析法を構築する予定であった。しかし、使用予定のGC/MSでは期待する感度が得られなかったため、予定通り進捗しなかった。今年度の残額は、当初の目的に従って、2024年度に使用する予定である。
|