研究課題/領域番号 |
23K09723
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
平田 匠 奈良県立医科大学, 医学部, 特任准教授 (00383795)
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研究分担者 |
岡村 智教 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00324567)
寳澤 篤 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (00432302)
平田 あや 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20845739)
石崎 達郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (30246045)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 睡眠指標 / 疫学研究 |
研究実績の概要 |
神戸市在住の高齢者を対象としたコホート研究である神戸研究NEXTの追跡調査を実施し、令和5年度の全調査参加者308名のうち、ウェアラブルデバイス(ACCEL、株式会社ACCELStars製)を用いた睡眠指標の測定に同意した263名(男性93名、女性170名)について各種睡眠指標の測定を実施した。測定期間は7日間とし、就寝1時間前から起床までの装着を依頼した。併せて、睡眠日誌の記録を依頼し、客観的指標との整合性を確認した。 その結果、男性93名の平均総睡眠時間は6時間01分26秒、平均中途覚醒時間は1時間11分36秒、平均睡眠効率は82%であり、年齢カテゴリ(65歳未満、65歳以上75歳未満、75歳以上)別の解析では、年齢カテゴリが高くなるほど、平均総睡眠時間が長く(65歳未満:5時間46分15秒、65歳以上75歳未満:5時間52分45秒、75歳以上:6時間09分12秒)、平均中途覚醒時間も長く(65歳未満:46分22秒、65歳以上75歳未満:58分59秒、75歳以上:1時間23分46秒)、平均睡眠効率は低い(65歳未満:87%、65歳以上75歳未満:85%、75歳以上:80%)傾向が認められた。一方、女性170名の平均総睡眠時間は6時間21分41秒、平均中途覚醒時間は39分17秒、平均睡眠効率は89%であり、男性より睡眠の質は全体的に良好と考えられた。年齢カテゴリ別の解析では、男性と同様、年齢カテゴリが高くなるほど、平均総睡眠時間が長く(65歳未満:5時間55分41秒、65歳以上75歳未満:6時間29分49秒、75歳以上:6時間33分42秒)、平均中途覚醒時間が長く(65歳未満:29分43秒、65歳以上75歳未満:40分17秒、75歳以上:45分24秒)、平均睡眠効率が低い(65歳未満:92%、65歳以上75歳未満:89%、75歳以上:88%)傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神戸研究NEXTの追跡調査データを用いた検討(ウェアラブルデバイスを用いて客観的に測定した睡眠指標と潜在性動脈硬化の指標との関連)については、ウェアラブルデバイスを用いた睡眠指標の測定が問題なく進行し、睡眠指標に関するデータベースの作成まで至ったことから、研究自体は概ね順調に進んでいると考える。 一方、東北メディカル・メガバンク事業地域住民コホートの詳細二次調査データを用いた検討(客観的に測定した睡眠指標と潜在性動脈硬化の指標、左室肥大の心電図所見の有無との関連)や、北海道後期高齢者医療広域連合の医科(入院・入院外)・調剤レセプトデータを用いた検討(後期高齢者における睡眠薬使用と循環器疾患による入院発生との関連)では、解析用データセットを入手したものの、各データの確認に時間を要し、十分なデータ分析を行うに至らなかったため、研究としてはやや遅れていると考える。 以上の状況を鑑み、研究全体としてはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
神戸市在住の高齢者を対象としたコホート研究である神戸研究NEXTの追跡調査データを用いた検討(ウェアラブルデバイスを用いて客観的に測定した睡眠指標(睡眠効率・総睡眠時間・中途覚醒時間)と潜在性動脈硬化の指標との関連)については、睡眠指標の測定が問題なく実施できたことから、今後は睡眠指標以外の項目の測定結果を加えて解析用データベースを作成し、データ分析を実施する。 また、宮城県在住の中高年者を対象とした東北メディカル・メガバンク事業地域住民コホートの詳細二次調査データを用いた検討(客観的に測定した睡眠指標(睡眠効率・総睡眠時間・中途覚醒時間・中途覚醒率)と潜在性動脈硬化の指標(頸動脈IMT)、左室肥大の心電図所見の有無との関連)や、北海道後期高齢者医療広域連合の医科(入院・入院外)・調剤レセプトデータを用いた検討(後期高齢者における睡眠薬使用と循環器疾患による入院発生との関連)については、倫理委員会の承認を得た上で、既に解析用データセットを入手しているため、各データの確認(データクリーニングを含む)が終了し次第、順次データ分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究におけるデータ分析を実施するためには、東北大学東北メディカル・メガバンク機構ならびに東京都健康長寿医療センター研究所への定期的な出張が必要であったが、出張先が遠方となり1回の出張で多くの時間を要するため、データ分析を行うために必要な長期の出張機会を確保することが困難であった。また、情報収集のための各種学会・研究会への参加に関しても、ハイブリッド開催が増加したため、学会会場への出張を行う機会が減少した。以上の理由により、次年度使用額が生じた。令和6年度は、本研究を推進するため、各種研究機関への定期的な出張を行うとともに、学会発表・論文化に伴う費用を含む研究の推進に必要な各種費用を本助成金より支出する計画としている。
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