研究課題/領域番号 |
23K09746
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
佐伯 圭吾 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60364056)
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研究分担者 |
大林 賢史 奈良県立医科大学, 医学部, 特任准教授 (30596656)
田井 義彬 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60812394)
山上 優紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90823956)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 入浴 / 脈拍 / 室温 / 外気温 |
研究実績の概要 |
入浴事故による死亡数は過去10年で約1.5倍に増加しており、交通事故による死亡数より多くなっている。高齢化に伴ってさらに増加すると考えられ、有効な対策の立案が必要と考えられている。入浴事故の頻度は、冬に増加することが、先行研究から知られているが、どの程度の外気温でリスクが上昇するかといった、定量的な関連は明らかではない。今年度、本研究では、統計法に基づく利用申請を経て、過去の人口動態統計情報の日別都道府県別の自宅における溺死数データを入手し、同日の同地域の外気温との関連の検討を開始した。入浴事故のリスクが上昇する外気温が判明すれば、注意喚起をより適切なタイミングで発信することが可能となると思われる。 入浴事故に関する救急搬送例の分析から、体温・脈拍数上昇との関連が指摘されている。本研究ではウェアラブルデバイスを用いて被験者の入浴時の皮膚温や脈拍数の測定を行うとともに、症状の発生の有無についての調査を開始した。さらに入浴前の室温や浴室環境が、入浴時間や入浴温度と関連する可能性があるため、同時に測定を行った。今年度は33名の被験者の協力を得て、冬季の20日間にわたって測定を行うことができた。入浴中の脈拍数上昇と強く関連する因子を明らかにすることは、安全な入浴方法を具体的に助言するために有効と思われる。また市販のウェアラブルデバイスで入浴者の脈拍数をモニタリングすることは、入浴事故のハイリスク者の見守り方法の開発につながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の予定(35人)どおりの対象者において、入浴中の皮膚温・脈拍および室温、入浴環境の測定を実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は入浴死亡リスクが上昇する外気温の推定に関する分析を進める。また70名の対象者に、ウェアラブルデバイスを用いて、冬季の入浴中の脈拍や皮膚温変動を測定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査補助員の人件費を計上していたが、講座内教員の援助等により、予定より少ない人件費で実施することができた。次年度以降、対象者を増加させた場合の人件費に用いる予定である。また研究成果の学会発表や調査に用い旅費を計上していたが、対象者を周辺地域で募集できたことや、発表は分析結果が得られる次年度以降とすることで、次年度使用額が生じた。
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