研究課題/領域番号 |
23K09747
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
須藤 洋一 岩手医科大学, いわて東北メディカル・メガバンク機構, 特命准教授 (50810561)
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研究分担者 |
清水 厚志 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 教授 (30327655)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 免疫 / 自己免疫疾患 / GWAS / クラスタリング / ポリジェニックモデル |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒト由来のゲノム・コホートデータを利用して研究を行う計画である。そのため、所属組織から研究計画について承認を得るとともに、倫理審査申請を行い研究倫理面での承認を得た。次いで、研究実施許可及び、解析に用いるスーパーコンピュータの利用許可を得た。また、免疫学、及びゲノム疫学分野における最新の情報を収集するため、書籍購入、及び免疫、ゲノム科学両分野の専門学会への参加を行った。本計画では将来的に日本ゲノムコホート連携を利用した大規模コホートデータ解析を想定しているため、連携を構成するコホートとの打ち合わせも実施した。 こうした許可申請や周辺環境の整備と並行して、可能な範囲から研究を開始した。まず、膠原病の関連解析やポリジェニックモデル作成に先立ち、研究アプローチや解析実施環境の構築・確認のため、重要かつ基本的な免疫学的形質である血中イムノグロブリン量についてのポリジェニックモデルを作成し、その精度評価を試みた。Pruning and Thresholding法 またはLDpred法等の手法により候補モデルを多数作成し、テストデータとの相関を基準として、最適なモデルを選択した。このモデルを用い、現在の利用可能なコホートデータ内でポリジェニックスコア(PGS)を計算した。次いで、計算したPGSと自己免疫疾患等多様な疾患リスクに対する網羅的な関連解析を実施した。このモデルの精度・特異度を明らかにするとともに、前向き検証も試み、疾患の予測性能を詳細に評価した。さらに計算されたPGSの分布に一般的でない特徴が見られたため、その原因調査を行った。これらの解析結果について取りまとめを行い、論文執筆に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト由来のゲノムコホートデータを扱うための倫理審査に時間を要し、実際のデータを使っての解析に着手するまでが、想定より大きく遅れた。その一方、その間を情報収集及び手法の検討等に当て、研究の進捗への影響を小さくした。研究の実施許可がおりて以降は概ね順調に研究が進められている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは現在までの成果を論文にまとめるとともに、専門的な学会で成果報告を行う。次いで、日本ゲノムコホート連携のデータ利用を行うため、必要な申請について検討する。ポリジェニックモデル作成手法については近年も新しい手法がいくつか発表されているため、計画されていた手法に加えてそれら最新の手法の利用も検討する。GWASメタ解析手法についても、情報収集を続け、より新しい方法が反映できるように務める。年度内に環境要因の分析など計画されていた解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
倫理申請等の許可の取得に想定以上に時間がかかり、ヒトゲノムコホートデータを利用した研究計画に着手するまでが遅れたことから、一部の学会参加等、計画されていた支出が行われなかった。この分については、次年度使用額を利用して参加する計画である。また、スーパーコンピュータ利用料の支払いが本年度分について減免されたため、その分の支払いが減少した。この分については、最終的に国際学会参加及び、論文投稿の際に海外との為替や物価の差により吸収されると見込まれる。
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