研究課題/領域番号 |
23K09776
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
斉藤 剛 東海大学, 医学部, 特任准教授 (30266465)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 液体クロマトグラフ質量分析計 / 位置異性体 / 光学異性体分離カラム / ゾピクロン / エスゾピクロン / 尿中簡易薬物検査キット |
研究実績の概要 |
本年度は、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)を用いて位置異性体化合物同士あるいは類似した代謝物同士などを分析する際、誤同定する恐れがある化合物の探索を行った。構造類似化合物の探索は、薬毒物情報インデックス(日本医事新報社)に掲載されている化合物を対象として、Wikipedia Chemical Structure Explorerを用いて行った。その結果、化合物Aの代謝物が別の化合物Bと一致して、LC-MS分析を行うと誤判定すると思われる化合物の組み合わせを複数見つけた。しかし、いずれも化合物Aは安全性の観点から製品化されなかったことから現時点で化合物AとBを誤同定する可能性が無いと判断した。 次いで、現在流通している化合物の中で構造異性体となる化合物に着目してこれらの尿中簡易薬物検査キットとの交差反応性と尿中における安定性について検討を加えた。具体的には睡眠障害改善剤としてのゾピクロンとエスゾピクロンを対象とした。エスゾピクロンは、ラセミ体であるゾピクロンを光学分割して得られたS体であり、光学異性体分離カラムによる分離を試みた。光学異性体分離カラムによっては、全く分離されない製品もあり分離カラムの選択に難点があった。また、ゾピクロン用の簡易キットに対する交差反応性はゾピクロンの方がエスゾピクロンよりもはるかに低濃度で交差反応を示した。濃度的には25倍の差を有した。また、これらの化合物は保存中の安定性が悪く共に2-アミノ-5-クロロピリジンとなり室温状況下では比較的短時間でキットと交差反応を示さなくなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
構造類似化合物の探索は順調に進行しているが製品化されていない化合物がある。従って、それ以上の展開が望めない状況であった。 また、光学異性体分離カラムは、利用者が少ないためか納入されるまでに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、光学異性体化合物を含めた構造類似化合物の探索を行う。 ラセミ体化合物の分離に適した分離カラムを開拓する。
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次年度使用額が生じた理由 |
光学異性体分離カラムの納品に時間を要したため。更にそのカラムの性能評価にも時間を要したことで年度内での使用金額が少なくなった。 次年度も本年度とほぼ同じ計画であるため、早めの発注することで対応する。
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