研究課題/領域番号 |
23K09778
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
西口 美紀 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50351797)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 覚せい剤 / 依存 / 線条体 / タンパク質 / LCMS/MS |
研究実績の概要 |
乱用薬物の強化作用にとって重要な神経回路となっている腹側被蓋野-側坐核および黒質-線条体系ドパミン(DA)神経系を中心に、覚せい剤(メタンフェタミン:MAP)によって引き起こされる神経細胞の変化と、乱用薬物によって発現する精神病発現のメカニズムについて、DA受容体およびドパミントランスポーター(DAT)のmRNA、タンパク質発現率から分子レベルでの変化と、その変化を誘導する遺伝子の変異について現在検討を行っている。 これまでに慢性的にMAP投与されたラットの線条体・側坐核においてDATのmRNA発現量に有意差が確認され、度重なるDAの過剰活動がDATのダウンレギュレーションを起こしていることが推察された。最終的な機能発現を議論するためにmRNA量のみならずタンパク質発現量の確認・定量を行ったところ、慢性投与だけではなく、単回投与においてもDATタンパク質の発現量に低下が見られた。これは依存形成の初期変化には極めて重要であり、乱用者が覚せい剤を止めることが出来ない状況は個人の意志の弱さが要因なのではなく、わずか1度の薬物使用によって脳神経に不可逆的な変化が起こっている可能性がある。これらを確認するた め、より正確で再現性が高いと考えられるLCMS/MSを用いたタンパク質定量法を模索しているが、現在目的タンパクをLCMS/MSにアプライできるレベルまで精製するための抽出方法とLCMS/MSの条件設定について検討しているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当研究以外の実務業務や教育活動についての負担が増加したため、当研究のエフォートが低下した。 またキットを使ったLCMS/MSアプライ用のタンパク抽出およびサンプル調製における精製度が安定しておらず、もうしばらく検討時間が必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
キット等を使用したLCMS/MS用のタンパク抽出およびサンプル調製について、慎重にデータを得たいと考えているが、データが安定しないようであれば、使用するキット自体を変更することも考慮したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
最新のDNA、RNAおよびタンパク抽出用のキットを購入し検討しているが、現在のところデータのバラツキが大きく、その原因を探っているところで、次の一歩に至っていないのが現状である。また昨今の物価高からキットや機器に関しても軒並み価格が高騰しており、最新のDNA・タンパク抽出キットも高額になっている。次年度以降に機器購入を考えていることから、消耗品だけに交付金の多くを費やすことは控えたいと考えている。
|