研究課題/領域番号 |
23K09849
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
石井 和美 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (50804184)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 清拭 / せん断力 / 皮膚ダメージ / 綿タオル / 不織布タオル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、清拭による皮膚ダメージを力学的視点から明らかにし、より安全な清拭ケア方法を提案することである。清拭は綿や不織布素材のタオルを用いて全身の皮膚を擦り、汚れを取り除く看護技術である。この時、清拭タオルによる刺激によって皮膚の最上層にある表皮が剥離することによって、皮膚内部の水分が蒸散し、皮膚表面のバリア機能が低下することがある。特に高齢者のドライスキンや新生児など皮膚が脆弱化している場合はよりその影響が大きい。また、バリア機能の低下だけではなく、タオルによる摩擦刺激そのものによって表皮と真皮の間にずれが生じ、スキンテア(皮膚裂傷)の原因となることもありうる。そこで、清拭時にタオルと皮膚に生じる摩擦や圧力、せん断力について測定を行い、力学的視点から清拭による皮膚のダメージを検討し、皮膚を傷つけずに汚れ落ち効果が得られる清拭ケア方法の考案を目指したいと考えた。 2023年度は、摩擦・せん断力センサーを用いた綿タオルと不織布タオルのせん断力、摩擦力の測定方法について検討を行った。摩擦・せん断力センサーはリアルタイムに摩擦・せん断力を測定できる面状センサーであり、柔軟なシート状センサーの変形を読み取り、摩擦・せん断力の面内分布をマッピングができるものである。このセンサーを用いてタオル素材の違いによる摩擦・せん断力の違いが可視化及び測定できるかについて機器をレンタルしてプレテストを行った。プレテストでは、センサーシート上をタオルで拭き取る方法とタオルにセンサーを付けて実際の皮膚を拭きとる方法の2種類を実施した。結果、タオルに巻く方法がより実際の拭き取り時のせん断力・摩擦力が測定できるのではないかと考えられた。引き続きプレテストを繰り返し、確実な測定方法によるデータ収集を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
測定方法の検討を行うための摩擦・せん断力センサーのレンタル時期の調整が必要となり、プレテストの時期に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は引き続き、摩擦・せん断力センサーを用いた測定方法について検討し、今年度中に綿タオルと不織布タオルによる皮膚ダメージについて明らかにすることを目指す。同時に、第2段階の実験のプレテストを早めに実施し、次年度の本調査がスムーズに始められるように進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
摩擦・せん断力センサーのプレテスト時期に遅れが生じたため、機器の購入が次年度となった。2024年度中に測定機器と付属品等を購入し、実験を進める。
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