研究課題/領域番号 |
23K09862
|
研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
石田 智恵美 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (50352349)
|
研究分担者 |
中本 亮 令和健康科学大学, 看護学部, 講師 (20782973)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 素朴概念 / 機序 |
研究実績の概要 |
<2023年度の計画> 看護の分野でどのような素朴概念が存在するのかを明らかにすることを目的として,次のように計画を立てた。1.全国の看護系教員を対象に,これまでに体験したあるいは見たり聞いたりした素朴概念に関するエピソードについて,無記名による質問紙調査を行う。2.調査結果から素朴概念を特定し,その中で優先して概念を組み換える事柄を絞り込む。 <実施状況> 1.について,日本看護系大学協議会に加盟している295大学(2023年4月時点)に所属する看護系教員(教授・准教授・講師・助教・助手)を対象として,素朴概念に関する質問紙調査を実施した。看護学生の,1)生理的メカニズムに関する誤った解釈や思い込み,2)病態に関する誤った解釈や思い込み,3)その他(言葉の意味を理解していない,言葉の意味を知らない)等のエピソードについて回答を求めた。2.調査結果より,37のエピソードを分析対象とした。これらのエピソードは「事実的な知識の誤り」と「事実間の関係性に関する知識の誤り」に分類され,「事実間の関係性に関する知識の誤り」は,さらに【機序が欠如】・【機序を無視】・【機序の誤解】・【機序の理解不足】に分類された。【機序を無視】したエピソードは生活上の出来事から類推した内容を含み,素朴概念から推測しているのではないかと考えられた。最も多かったのは【機序の理解不足】で,人体に起こる症状には複数の機序が相互に関連しているため,部分的にしか理解されない傾向があると推測された。この成果を日本教育工学会2024年春季全国大会(2024年3月)に発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の計画では,1.全国の看護系教員を対象に,これまでに体験したあるいは見たり聞いたりした素朴概念に関するエピソードについて,無記名による質問紙調査を行う。2.調査結果から素朴概念を特定し,その中で優先して概念を組み換える事柄を絞り込む。以上の2つをあげ,予定通り実施した。調査研究から得られた結果より,【機序を無視】したエピソードがどのような日常生活上の経験と結びついているのか,今後検討すべき事柄について確認できた。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度の計画は予定通り概ね順調に進めることができた。今後,素朴概念に関するエピソードを幅広く収集することが,素朴概念の内包を充実させるために必要であるため,インタビューなどを通じてさらに収集していきたい。また,今年度の成果を基に,2024年度の計画である,誤った概念を組み換えるための教授計画を進めていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会発表などの旅費として計上していたものが,他の経費を使用することになったため残額となった。また,人件費として計上していたが,研究者が集計・分析を一貫して実施したため使用しなかった。そのため,次年度はこれらを含めた経費を計画的に運用していきたい。
|