研究課題/領域番号 |
23K09885
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
佐藤 淑子 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (40249090)
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研究分担者 |
平尾 百合子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (50300421)
邊木園 幸 宮崎県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80405604)
喜田 雅彦 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 助教 (10844227)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 診療所 / 感染対策 / 地域連携 |
研究実績の概要 |
本研究は、診療所の特殊性をふまえ、診療所の側からみた新しい地域連携の在り方を検討することを目的としている。診療所において、感染対策上の課題を解決したり新興感染症の発生に備えるためには、地域内で感染対策の情報提供や教育・指導・相談できる感染対策の専門家がいる病院との積極的な関係構築やシステム作りが必要である。令和4年度診療報酬改定により、現行の感染防止対策加算1と加算2が感染対策向上加算1(以下、向上加算1)と向上加算2に改組されると共に、小規模病院が取得しやすい向上加算3と診療所を対象とした外来感染対策向上加算(以下、外来加算)が新設された。今回の改定は、地域全体の感染防止対策強化を目指したものといえるが、診療所が外来加算の施設基準を満たすことは容易ではないと考えられた。 本年度は、研究者らが地域内の診療所を対象に、感染対策の地域連携の現状や課題について調査するためのヒアリングを行う計画であったが、その前に全国の加算の届出状況の推移を把握することとした。2023年4月と9月および2024年3月の半期ごとに、各地方厚生局から外来加算の届出施設および連携先となる向上加算1の届出施設の一覧を入手し、都道府県別に施設数を算出した。その結果、半期ごとの外来加算の施設数は1,7257/1,7921/1,8256で、連携先の加算1の施設数は1,280/1,635/1,641であった。全国の外来加算と向上加算1の届出施設数は共に増加を続けていたが、10県では半期のうちに届出施設数が減少していた。また、各都道府県の向上加算1届出施設1か所が連携している診療所のおおよその数を算出したところ、計算上10か所以上の診療所と連携している向上加算1届出施設を有する都府県が37あり、うち3都県は20か所を超えていた。これらの結果から、外来加算の施設基準を満たすことが可能な診療所があっても向上加算1の届出施設との連携が困難な地域もあることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2024年度中に、診療所の管理者を対象としたヒアリング調査を実施しする予定であったが、外来加算と向上加算1の届出状況の推移を把握する必要があるため、ヒアリングを次年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、近畿・関東・九州地域から便宜的に抽出した自治体の全診療所の管理者を対象に、文書で研究協力の意向調査を実施した上で、感染対策の地域連携の現状や課題に関するヒアリング調査を前期に実施する。後期はヒアリングの分析を行って、2025年度に実施する全国の一般診療所の管理者を対象とした無記名・自記式質問紙調査の調査内容を検討する。調査実施までの期間を短縮できるよう、2024年度末時点で各地方厚生局の届出受理機関名簿から各地方の一般診療所の一覧を入手し、約1,000施設を無作為抽出して調査依頼先リストを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に予定していた診療所の管理者を対象とした感染対策の地域連携の現状や課題に関するヒアリング調査が実施できなかったため、その調査目的で計上していた謝金や交通費、通信費などを2024年度に支出することになった。2024年度は研究分担者がそれぞれの地域でヒアリング調査を実施するため、調査旅費と協力者への謝金、録音のための機器購入などに使用する。また、研究代表者が一括してヒアリングデータの文字起こしを専門業者へ委託する費用として使用する。
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