研究課題/領域番号 |
23K09899
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研究機関 | 令和健康科学大学 |
研究代表者 |
田中 裕二 令和健康科学大学, 看護学部, 教授 (40179792)
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研究分担者 |
桑本 暢子 (大久保暢子) 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (20327977)
錢 淑君 千葉大学, 大学院看護学研究院, 准教授 (50438321)
池田 敏子 令和健康科学大学, 看護学部, 准教授 (60352324)
岩倉 真由美 令和健康科学大学, 看護学部, 講師 (70743748)
仲井 あや 千葉大学, 大学院看護学研究院, 助教 (30612197)
湯本 晶代 千葉大学, 大学院看護学研究院, 助教 (10825037)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ニューロサイエンス看護学 / 神経生理学 / 高次脳機能 / 意識レベル / 意識障害 / 国際比較 / 感覚刺激 / 看護技術 |
研究実績の概要 |
本研究は神経生理学的な基礎研究を行う研究者と意識障害患者に対する看護ケアについての臨床研究を行う研究者が連携し,年齢の異なった意識障害患者に対する意識レベルの改善を促すための根拠に基づいた科学的な看護ケア技術の方法を解明することである。 具体的には,【研究1】健常者を対象にした実験研究,【研究2】意識障害患者を対象にした臨床研究,【研究3】欧米諸国およびアジア諸国との国際比較研究で構成されている。【研究3】では,欧米諸国(フランス,アメリカ)およびアジア諸国(台湾,韓国)における意識障害患者に対する看護ケア技術を調査し,看護ケアの文化的な背景との関連性を明らかにし,日本の看護ケアとの類似点や相違点について比較検討することである。 令和5年度は,意識障害患者の定義について検討した。意識障害を生ずる疾患は多数あるが,本研究の対象者は脳出血または脳梗塞が原因による意識障害患者とした。ライフステージによって疾患の種類が異なることから,年代別の意識障害患者のデータを文献などから収集することにした【研究2】。意識レベルを改善するため聴覚や痛覚など五感を刺激することが行われている。日本を含めアジア地域では声かけが主であるが,フランスでは味覚刺激,特に苦味刺激が用いられていた【研究3】。臨床から得られたエビデンスに基づいて,健常者を対象に意識レベルを改善するための看護ケアの科学的根拠を解明するための実験について検討した【研究1】。具体的には,姿勢(背面開放座位)や種々の感覚刺激(触覚,聴覚,嗅覚,味覚など)が意識レベルにどのように影響するかを主に生理学的指標(脳波,覚醒レベル,自律神経活動,バイタルサインなど)から検討する。以前に本研究助成で購入したベッドサイドモニタBSM-3000シリーズ(ライフスコープVS;BSM-3562:日本光電)などを用いて,実験システムのセットアップを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属先が新設大学なため,講義および講義準備などの教育,全学および部局の委員会活動などの大学運営,高校訪問やオープンキャンパスなどの高大連携活動に時間を取られ,十分に研究する時間を確保することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.意識障害患者に対する看護援助技術の実態調査(国内および海外) 意識障害患者に対して意識レベルを改善する目的で行われている種々の看護援助技術について国内外の文献を検討するとともに,国内および海外の施設においてアンケートや実態調査を行い,そのエビデンスを明らかにする。具体的には,ライフステージによって疾患の種類が異なることから,年代別の意識障害患者のデータを文献などから収集することによって,その特徴を明らかにすることである【研究2】。 欧米諸国(フランス,アメリカ)における意識レベルを改善するための看護ケアについて,どのような生理的メカニズムに作用することを目的に実施されているのかについて明らかにする。また,看護ケアの文化的な相違についても検討するために,欧米諸国の他にアジア地域として中華民国(台湾)での看護ケア技術について調査することで,欧米およびアジア諸外国における意識障害患者に対する考え方や看護ケア技術について文化的な背景を視点に検討する【研究3】。 2.実験研究の実施 これまでの研究報告から,背面開放座位は意識レベルの改善に効果があることが示されている。さらにどのような刺激を背面開放座位実施時に併用すれば意識レベルの改善に効果があるかについて,健康な成人(20~30歳代)を被験者として,覚醒レベルと刺激の種類(痛覚刺激,聴覚刺激,芳香刺激など)および刺激強度との関係を生理学的指標(脳波,覚醒レベル,自律神経活動,バイタルサインなど)および心理学的指標から検討する【研究1】。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として,本年度,講義および講義準備などの教育,全学および部局の委員会活動などの大学運営,高校訪問やオープンキャンパスなどの高大連携活動に時間を取られ,十分に研究する時間を確保することができなかったために資料整理のための事務補佐員を雇用できなかったことが挙げられる。 次年度の使用計画は,本年度実施できなかった実験研究のデータ整理や文献検索による文献整理などを行う事務補佐員を雇用することを計画している。
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