研究課題/領域番号 |
23K09919
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
清野 純子 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (80549973)
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研究分担者 |
高橋 亮 岩手医科大学, 看護学部, 教授 (50413167)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | グリット / 看護師 / COVID-19 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、新型コロナウイルス感染症により入院している患者とかかわる看護師のグリットを捉え、そして、健康やストレス反応、仕事に対する充実感への影響を明らかにすることであった。 2019年12月初旬に新型コロナウイルス感染症が報告され、その後、日本の医療機関では新型コロナウイルス感染症患者と感染予防に対応し、看護師はこれまでに経験したことのない環境の中で従事しなければならなかった。そのような状況下においても看護師として職業を継続させている力(グリット)を明らかにすることが、看護師の離職防止やストレス低減につなげることができ、看護師教育を行っていく中で必要であると考えられた。 本邦においては看護師のグリットに関する研究はほとんど見受けられない。そこで2023年は国外におけるグリットに関する研究の状況およびその概念を把握した。グリットと類似した概念としてレジリエンスがあるが、グリットとレジリエンスは関連しているが異なる概念であり、グリットは長期的な目標に対するものである(Meyer et al., 2020 ; Munn et al., 2022)。またグリットにはコミットメントが含まれる(Duckwroth et al., 2007)。またグリットを測定する尺度の開発が行われている(Duckworth & Quinn, 2009;)が、グリットは文化的背景により異なる可能性がある (Datu et al., 2017 ; Datu & Mclnerney, 2017)ことから、日本におけるグリットの構造を明らかにする必要性および国外で作成されたグリットを測定する尺度(Grit-S)の内容が日本人看護師に適応可能か検討する必要があると考えられた。そして、これらの先行研究から本研究の第一段階である看護師のグリットを支える要因に関するインタビュー内容を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度は臨床の場で働く看護師を対象にCOVID-19流行当初と現在とでの心理的葛藤の違いと看護師のグリットを支える要因について明らかにするために、看護師を対象としたインタビュー調査を実施する予定であった。それに伴い看護師のグリットに関する研究の動向について把握する必要あった。グリットに関する看護師の研究は本邦ではほとんど見受けられないことから、2023年度は、海外におけるグリットに関する研究の同様および看護師を対象としたグリットに関する研究について把握し、本研究のグリットに関する看護師のインタビュー調査内容を決定することとした。そのため、グリットに関する海外の研究の動向の整理に時間を要し研究が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度に行った海外のグリットに関する研究の動向やグリットのとらえ方を整理し、またグリットの関連要因を捉える。そして日本における看護師のグリットを支える要因を明らかにすることを目的に看護師10名程度を対象にインタビュー調査を実施する予定である。インタビュー調査の内容は、グリットに関する海外の研究を参考に研究分担者と検討し決定していく。インタビュー調査後は、得られた質的データの分析を研究分担者と実施する。また、調査結果から日本人看護師におけるグリットの特徴を捉えていく。さらにグリットに関する研究の動向については、引き続き国内外から捉えていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、主に先行研究についての文献検討および先行研究を踏まえ研究分担者と研究の動向およびインタビュー調査の内容について検討を行った。そのため、看護師のグリットに関連するインタビュー調査が実施できなかったため、調査対象者への謝金やインタビューを録音したデータの文字起こしおよび旅費に関する費用を使用しなかった。 そのため、2024年度は看護師を対象としたインタビュー調査を実施することからこれらの経費が必要となる。またグリットに関する論文の取り寄せや研究分担者とのオンラインでの打ち合わせ、インタビュー調査の質的データをまとめるためノートパソコン、質的データを分析する解析ソフトの経費が必要である。
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