研究課題/領域番号 |
23K09942
|
研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
野田 桃子 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (90912147)
|
研究分担者 |
上野 高義 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60437316)
師岡 友紀 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (40379269)
藤田 安沙貴 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (80884303)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 集中治療室 / 遷延性術後痛 / 危険因子 |
研究実績の概要 |
2023年度前半は文献検討を行った。集中治療室(ICU)を退室後の患者の生活の質(QOL)の低下に影響する要因の一つとして遷延性術後痛(CPSP)がある。ICU退室後の慢性疼痛に関する研究はなされてきているが、手術後の痛みに焦点を当てた文献は少ない。そのため、海外文献において、ICUを退室した術後患者のCPSPの危険因子の文献検討を通して明らかにすることを目的として文献検討を行った。分析の結果、ICU退室後のCPSPの危険因子としては、個人因子、術後の疼痛管理状況、術中の因子、術後の身体状況、術前から術後を通した精神状況の5つに分類された。個人因子として、女性、高齢者、術中の因子には術中のレミフェンタニルの投与量が含まれた。術後の身体状況にはICU滞在期間が長いこと、人工呼吸の使用期間が長いこと、重症度等が含まれた。術前から術後を通した精神状況には、術前におけるICU入室前の不安、ICU入室中のトラウマ的な記憶、ICU退室後の心的外傷後ストレス障害やうつ症状が含まれた。結論として、予定手術後のCPSPの危険因子は、術前、手術中、ICU入室中、ICU退室後、すべてのプロセスにおいて認められ、心身両面の因子があった。したがって、周手術期を通した予防的関わりの必要性が示唆された。 2023年度後半は倫理審査の申請を行った。文献検討で得た研究結果に基づいて研究における情報収集の項目の検討を行い、倫理審査書類を作成した。大阪大学医学部附属病院の倫理審査委員会に審査書類を提出し、倫理審査委員会からの助言に沿って現在は追加の修正を行っている最中である。 今後は、倫理審査委員会の承認を受けた後に速やかに調査を開始していけるように準備を進めていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度の進捗状況として、研究分担者の助言を得ながら対象者から収集するデータ項目やアンケートの内容を検討した。大阪大学医学部附属病院の倫理審査員会で審査を受けている最中である。まだ研究を開始することができていないため、当初予定していたICU入室予定の患者からの対象者の選定、対象者へのアンケート調査は実施できていない。 進捗が遅れている理由は看護学臨地実習の教育業務を担う教員の欠員である。急遽立て続けに教員の長期休職があり、人員の調整や代替で実習担当となる必要が生じた。そのため、業務負担が増したことから研究業務に費やす時間を当初の想定よりも確保することができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、大阪大学医学部附属病院の倫理審査委員会からの承認が下り次第、速やかに研究を開始することができるように準備を進めておく。具体的には、研究開始のために必要な手続き(電子カルテのID取得手続き、研究実施病棟への研究協力依頼等)の準備を事前に進めておく。今年度の研究の遅れの原因であった研究以外の業務負担に関しては、次年度は休職中の教員が復帰予定であるため解消される予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、大阪大学医学部附属病院の倫理審査員会で承認を受けた後、ICU入室予定の患者から対象者を選定する。対象者がICUから病棟に転棟したら訪問し、研究参加の同意を得たら、ICUでの体験と疼痛に関するアンケートを実施する。電子カルテからは患者背景に関する情報(性別、年齢、既往歴、現病歴など)、手術に関する情報(術式、使用した麻酔薬など)、ICU入室中の情報(使用した鎮痛薬、疼痛の強度、睡眠状況など)を収集する。ICU退室3か月後に、電話もしくは郵送にて患者の身体状況と術後の疼痛の実態および不安や抑うつに関するアンケートを実施する。そのため、アンケート類の印刷に関する費用、アンケートに回答してもらうために必要な文房具類が必要である。また、術後アンケートに回答した対象者に対して希望者には謝金を配布予定であるため、必要な経費である。
|