研究課題/領域番号 |
23K09993
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
内山 繁樹 関東学院大学, 看護学部, 准教授 (80369404)
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研究分担者 |
谷島 和美 関東学院大学, 看護学部, 助教 (30968342)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リカバリー / ピアスタッフ / 心理教育 / 統合失調症 / 当事者と家族 / IMR |
研究実績の概要 |
【目的】統合失調症の当事者とその家族を共に支援するリカバリーを促進するの心理教育プログラムによる当事者・家族のパーソナル・リカバリーの変化を明らかにする。 【方法】ピアサポーターが参加するリカバリー志向の心理教育プログラムは,当事者を対象にしたIMR,家族を対象にしたFPRから両者を共に支援するプログラムを構成し,国府台モデルの複合家族心理教育に準じて実施した。対象は地域生活支援センターに通所する統合失調症の当事者およびその家族を各8名/1Gである。プログラム内容は,講義形式の教育セッション(60分)と困り事の語り合いセッション(90分)にて,全6回クローズドグループで実施した。半構造化面接を行い,Krippendorffの内容分析にて分析的構成概念と推論の相関性による意味的妥当性を図り,各々のパーソナル・リカバリーの説明概念を明らかにした。 【結果】K.Kripendorffの内容分析においての分析プロセス(相澤,2012)をもとに,当事者(23名)から20の推論と8の説明概念を,また家族(36名)から16の推論と8の説明概念が抽出された。 【考察】当事者は,精神疾患を経験した仲間同士の「つながり」「気持ちの分かち合い」「学び合い」からお互いに「共感力」を促進している。また「苦労体験」「弱さの肯定」を共有できることで信頼関係の絆が強く形成された。症状対処の経験や自身の助け方,疾病の知識や情報は,「疾病自己管理」の意欲を深めていた。また,家族は,家族同士の「つながり」と場の安全保障感が「心の支えと安らぎ」が得られ,「苦労体験」を「ありのままに受容」する姿勢に変わり不安の軽減と新たな気づきを促進していた。さらに,本音の「語り合い」と「当事者の語り」は,語り場 のない両者において安心して気持ちを言葉にすることができ,各々の体験が腑に落ち,相互理解の促進がエンパワメントを高めていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リカバリー志向の心理教育プログラムは,5月から1回/wの実施にて計30回の予定で進められていた。しかし,10月よりピアサポーターが体調不良のため3か月リカバリー志向の心理教育プログラムに参加できなかったため,ピアサポーターが参加するためのデータが得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当事者と家族が参加するリカバリー志向の心理教育プログラムは,約9か月(1回/W)と長いプログラムであるため,ピアサポーターの体調管理の不調も鑑みて,さらに2~3人の確保をして臨む計画を追加する。また,客観的な指標としてピアサポーターの体調管理を毎回実施するとともに,施設長との情報共有を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ピアサポータースタッフが体調不良にて,3か月間リカバリー志向の心理教育プログラムに参加できなかったための謝礼経費とインタビューの反訳代分である。リカバリー志向のプログラムは30回開催予定(1回/W)のためピアサポータースタッフを複数人に増やし,負担が生じにくいローテーション担当を計画することで体調管理を維持できるように計画を修正する。
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