研究課題/領域番号 |
23K10061
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
高 知恵 (椿知恵) 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 講師 (60582319)
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研究分担者 |
前田 隆代 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (60848456)
宮下 ルリ子 県立広島大学, 公私立大学の部局等(三原キャンパス), 教授 (00453522)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 在留外国人 / 妊産褥婦 / 看護職 / 周産期母子医療センター |
研究実績の概要 |
日本の国際化や外国人労働者の受け入れ拡大施策に伴い、在留外国人数は増加傾向にあり、特に若い世代の在留外国人は結婚、妊娠、出産、育児という大きなライフイベントを経験する者も多くいる。在留外国人への看護をめぐっては、看護を受ける側にも提供する側にも課題があることが明らかとなっている。そこで、在留外国人への看護を行う周産期センター看護職の、看護実践の実態、実践上の困難と支援ニーズの実態を明らかにすることを目的に、年5回の研究班会議と周産期センター施設代表者へのアンケート調査及び、助産師・看護師へのWEBアンケート調査を実施した。 研究班会議では、母性看護専門看護師および日本国際看護師の資格を持つ看護職をメンバーとし、現場での在留外国人妊産褥婦看護の実態や、困難、臨床現場での支援の具体的方法、工夫について情報共有を行った。 施設代表者のアンケート調査からは、次の4点が明らかとなった。①言語的課題への対応として医療通訳、家族や友人の通訳、電話通訳、多言語翻訳機器、多言語資料を活用していた、②文化的宗教的配慮は全施設で実施されていた、③分娩期のあらゆる場面では家族や友人などの通訳者が活用されている傾向があった、④無料で活用できる既存の多言語資料は十分な活用に至っていなかった。 臨床看護職へのアンケート調査から次のような困難が明らかとなった。①妊娠期では「妊娠中の文化の違いによる認識の差」、分娩期では「陣痛の時のコミュニケーション」、産褥・新生児期では「授乳指導」、2週間健診・1か月健診では「必要性の説明」で困難を感じていた。具体的な困難経験としては、【経過や緊急時の説明と対応に関する言語的課題から生じる困難】、【出産・育児に関する文化の違いから生じる困難】、【院内や診療のルールが守られないことから生じる困難】、【経済的課題から生じる困難】が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度実施予定であった研究班会議は5回実施できた。グローバルヘルス合同大会2023学術集会でワークショップの企画・運営も実施した。また、施設代表者へのアンケート調査および臨床助産師・看護師へのWEBアンケート調査も実施でき、その集計まで終了している。現在、研究成果のまとめの段階であり、概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度に実施した2つの調査の研究成果のまとめと公表を行う。 昨年度調査の結果をもとに、在留外国人妊産褥婦看護を実践する看護職への支援プログラムを開発する。具体的にはニーズの多かった研修課題に対する配信動画の作成、既存資料が必要時にすぐに活用できるような、効果的なプラットフォームの作成、などを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に研究旅費として利用予定であったが、先方理由によりキャンセルとなったため次年度使用額が生じた。次年度の人件費、謝金として利用する。
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