研究課題/領域番号 |
23K10177
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
上白川 沙織 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (70901049)
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研究分担者 |
岡久 玲子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (80515619)
岩佐 幸恵 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (60432746)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 看護師 / 職業継続 / 心の強さ / キャリア支援 / 離職防止 / 職業継続支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、看護師の「働き続ける強さ」に焦点を当てた根拠のある新たな離職防止・職業継続策を導入するための基盤となる研究であり、看護師の「働き続ける強さ」測定尺度(SPSN)を開発し、妥当性と信頼性を検証することを目的とする。 1年目となる当該年度は、これまでの研究成果や研究背景をもとに、本研究はSPSNの開発に関する基礎的研究として「働き続ける強さ」の内容及び、その獲得・強化のされ方について対象者の背景を広げた調査(質的帰納的研究)を行った。 対象者はA県の公立病院で働くベテラン看護師(勤続年数20年以上)11名とし、インタビューガイドに基づく約1時間の半構造的面接を行った。面接内容を逐語録に起こし、M-GTAの分析手順に沿って、分析ワークシートに沿って、解釈・概念生成を行った。分析の結果、看護師が「働き続ける強さ」の獲得・強化には、入職したての頃や部署異動のたびに【チームの一員を目指し努力する】中で、【自分なりの仕事への向き合い方を身に着け】たり、【看護師として働くことの価値を見出す】経験を経て、【職業人としての自覚が醸成】され、【将来の目標や方向性を明確にする】というプロセスが明らかとなった。また、看護師が働き続ける強さとして、「負けないための努力」「失敗を教訓にして仕事に生かす」「人間関係を円滑にする気遣い」等の15概念が明らかとなった。この研究成果は第43回看護科学学会(山口)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、SPSNを開発し、その信頼性と妥当性を検証することである。3年計画であり、まず第一段階として、令和5年度は、「働き続ける強さ」の内容及び、その獲得・強化のされ方について対象者の背景を広げた調査を行うことが目標であった。 当該年度に実施した質的帰納的研究では、対象者の範囲を広げて調査し、公立病院で働く看護師の働き続ける強さの内容を明らかにすることができた。 以上のことより、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、第二段階の研究として、SPSN原案の作成及び、専門家による批判的検討と修正、予備調査による調査票の内容および調査方法などの検討を行う本研究の第1段階における質的研究成果に、研究者の先行研究(大学病院看護師を対象とした質的研究成果)、及び先行文献から尺度原案を作成する。尺度原案の完成後は、専門家による批判的検討により、質問項目の内容や表現についての修正を行う。その後、修正した尺度原案を用いて、大学病院に勤務する看護師を対象に予備調査(アンケート調査)を行う。さらに、予備調査の結果をもとに、再度、質問項目の検討・修正を行い、本調査に用いるSPSNを作成する。 令和7年度は、最終年度であり、SPSNの妥当性と信頼性の検証を行うため、全国の病院(規模は病床数400床以上の病院とする)に勤務する看護師を対象に本調査を実施する。その本調査の結果により検討・修正を加え、SPSNの最終項目を決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は予定していた看護研究学会学術集会への参加をしていないため参加費や旅費等を使用しなかった。また、第1段階の研究成果について論文としての投稿がまだのため、投稿料、印刷費等を使用しなかった。また第1段階の逐語録作成については業者委託をしなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、翌年度分として請求した研究費と合わせて、第1段階の論文投稿と学会参加、統計解析ソフト、パソコンの購入に使用し、第2段階の分析を進めていく予定である。
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