研究課題/領域番号 |
23K10180
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
石引 かずみ 札幌市立大学, 看護学部, 講師 (80735564)
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研究分担者 |
加納 尚美 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (40202858)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 女性中心のケア / 助産 / 分娩期 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、分娩期における女性中心のケア(Women-centered care;以下WCC)を基盤とした助産ケアモデルを構築することである。女性の出産体験は産後にまで影響を与えることが報告されており、出産時のトラウマ体験が産後の精神的健康に影響を及ぼすことや、豊かな出産体験が肯定的な母親役割獲得を促す等、ポジティブな出産体験の重要性は自明である。そして、WHOは母子にとって最良の出産体験を得るためにはWCCが重要であることを強調している。しかし、WCCについて、出産ケアの中心的役割を担う助産師の間で解釈のばらつきがあることが指摘されている。WCCを展開し出産体験の質を高めるには、助産師が共通認識を持ち実践することが必要である。本研究において分娩期におけるWCCを基盤とした助産ケアモデルを構築することで、助産ケアの質が担保され、母子のwell-beingの向上に寄与できる。 初年度となる2023年度は、第1研究としてgood practiceの視点から日本における分娩期のWCCの構成要素を明らかにすることを目指した。WCCは助産師主導の継続ケアモデルによって促進されること、開業助産所は日本における現行の助産師活動モデルであることから、分娩取扱をしている有床助産所に勤務する助産師を対象としてインタビュー調査(2022年度実施)を実施し、その結果を質的記述的に分析した。本成果を「開業助産師が捉えている分娩期におけるWomen-centered careとその実践」として学術誌に投稿し受理、掲載に至った。 第2研究に向けて、研究分担者とミーティングを実施し、研究計画の見直しと具体化ならびに第1研究をもとに質問紙を作成し、調査に向けての体制整備を行った。調査に先立ち所属施設の倫理審査を受け、次年度よりデータ収集を開始できる準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の計画よりも遅れている。その理由として、論文のアクセプトに時間要したためである。
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今後の研究の推進方策 |
WCCを展開するためには、ケア提供者とケアの受け手である女性、両者の共通認識が必要である。 次年度は、第1研究で抽出された分娩期におけるWCCの構成要素について、ケアの受け手である女性側の視点からその妥当性を検証することで、WCCの構成要素を洗練することを目指す。 当初の計画では、ケアの受け手である女性側にインタビュー調査を実施することを計画していたが、助産ケアモデルの構築を目的としていることから、量的手法を用いて第1研究で明らかとなった構成要素の妥当性を検証することにした。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遂行が遅れたことにより、調査で必要となる謝金等の経費を使用できなかったため。2024年度は調査を実施するにあたり必要となる物品費や謝金等で使用する予定である。
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