研究課題/領域番号 |
23K10261
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
千葉 洋子 宮城大学, 看護学群, 助教 (70757856)
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研究分担者 |
齊藤 奈緒 宮城大学, 看護学群, 教授 (20403298)
金子 さゆり 宮城大学, 看護学群, 教授 (50463774)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 新卒訪問看護師 / 教育プログラム / 遠隔システム / VR教材 / 生活者 / ケア / 看護実践 |
研究実績の概要 |
本研究は、全国に点在する新卒訪問看護師の「ケアを編み出す力」の獲得に向けて、仮想地域とVR技術を融合した遠隔教育プログラムを開発し、その有用性について検証することを目的とする。そして、1)新卒訪問看護師(以下、新卒者)が要介護高齢者を生活者と捉えてケアを編み出すプロセスを明らかにし、新卒者への教育内容、研修時期、評価指標を抽出する。2)VR教材を作成し、それを利活用する遠隔教育プログラムを考案する。3)新卒者を対象に遠隔教育プログラムを実施し、4)プログラムの有用性についてプロセス評価とアウトカム評価の観点から検証を行う、以上4段階を実施する予定である。 令和5年度は、1段階目のうち、新卒者が要介護高齢者を生活者と捉えてケアを編み出すプロセス(以下、ケアを編み出すプロセス)を明らかにし、論文としてまとめた。具体的な内容として、新卒者は、入職当初は先輩から学ぶことで得た知識・技術を踏まえて、自己を振り返るようにしており、先輩看護師との同行訪問を繰り返しながら、先輩に助力を求める、自分に合う研鑽方法を見つけることもできるようになっていた。そして、新卒者は、これらの自己研鑽を積みながら、同行訪問や単独訪問を重ねることで、利用者・家族と関係を構築する、疾患と共に生活する利用者の全体像を捉える、医療と生活の両面から利用者の問題を捉える、利用者の意向に合わせてケアをアレンジする、利用者が療養する環境を整えることが段階的にできるようになり、最終的に、利用者・家族の状況に応じてケアを編み出すことができるようになっていることを明らかにした。 本研究結果により、新卒者が「生活者」と捉えてケアを編み出す実際と、そこに至るまでの段階的変化の内容、自己研鑽方法の変化を見出した。これらの知見は、新卒者の教育プログラム作成の貴重な資料になりうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新卒者がケアを編み出すプロセスを明らかにすることは、本研究の根幹となる部分であるため、精査を重ねる必要があった。その結果、当初の予定よりも時間を要し、令和5年度に実施予定であった新卒者への教育内容、研修時期、評価指標の抽出、教育プログラムならびにVR教材作成に向けたリサーチ等には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年8月末までに、新卒者への教育内容、研修時期、評価指標を抽出して、教育プログラムのロジックモデルを作成する。同時進行で、本学独自の第3の学びの場「仮想地域:MYU-TOWN」と360°動画を融合したVR教材の作成に着手することで、進捗の促進を図る。また、令和7年度4月からプログラムの実施・評価に着手できるよう、令和7年1月頃からプログラム受講者確保に向けてリクルートを開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が計画よりも遅れた影響で、教育プログラム考案に向けた打ち合わせやリサーチ、専門家からのスーパーバイズ、VR教材作成、成果発表に要する諸費用の執行が滞ったことが要因である。 令和6年度は、令和5年度の残額を活用し、令和5年度に実施予定だった教育プログラム考案に向けたリサーチやVR教材作成を行う。令和5年度に執行できなかった成果発表にかかる諸費用については、今後の成果発表を円滑に行うために、英語翻訳ソフト等の購入に代替活用する。また、令和6年度に請求した助成金については、当初の計画通り、教育プログラム実施に向けた整備(タブレットおよびウイルスバスターライセンスの購入、WEB会議システムライセンスの購入)に活用する。
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