研究課題/領域番号 |
23K10341
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
高倉 恭子 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (50324083)
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研究分担者 |
立瀬 剛志 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (30397228)
山田 理絵 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (70336709)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | サービス付き高齢者向け住宅 / コミュニティ / 近代的互助 / 自助 / 持続可能性 / 多様性 / 地域づくり |
研究実績の概要 |
当初の計画を変更し、アンケート案の再検討を行った。コロナ感染症対策により、従来の運営と異なる内容や方法にて活動再開をしたサ高住もある為である。サ高住の活動状況を既存資料等から参照し、設置主体の特徴や活動内容から考察した。 今回、9か所のサ高住の情報を確認した。サ高住設置主体は、保険会社、建設会社、福祉法人、公団、県住宅供給公社、県出資の株式会社、福祉法人であった。経営母体の運営規模は様々だが、共通性として、第1に「コロナ感染拡大以前から地域づくりを意図した活動に取り組む」。第2に「他の社会資源の巻き込み型」で、サ高住の住居部分以外に、地域住民も利用可のレストラン、キッズスペース、ヨガ教室、ワークショップや地域交流スペースの提供、マルシェや地域包括支援センターによる介護予防体操教室の開催、敷地内に障がい児の施設や精神障がい者のワークセンター、学生用賃貸住宅等もあった。第3に「公営住宅の空き敷地の利用、稼働率が低い公営病院の病床を一部サ高住として活用」があった。初期費用抑制と共に住民が分かりやすい場所での活動のメリットがあると推測する。 上記から考察した特徴は、1つ目に不特定多数が利用可能な場にサ高住を設置し、多くの人々の集約効果を意図した『地域開放型のサ高住』。2つ目に「クリニックや子育て支援施設」「デイサービス」「ファミリー向け一般住宅や学生棟」「訪問看護ステーション」等の併設といった『人が集まる、住まう場に設置するサ高住』。 以上から「継続性と発展性」「コストと利潤のバランス」を基本に、「人が集まる場の利用と長期継続の可能性」と「楽しさ」を根底とした地域づくりのコンセプトがあった。以上より、サ高住を基点とする地域づくりには「運営者、参加者のメリットの明確性」「準備・運営・維持の確実性」「運営者側のコストと利益、今後の発展性」の3点を要点とした、実施方法の考察が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画作成当初は、既存資料から把握した地域づくりをコンセプトに置くサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の運営者にインタビューを予定していた。一方、インタビューの内容と本研究の目的との整合性を考察する過程で、地域づくりの考え方が進化(例:近代的互助という視点)、細分化している点を見出した。 そこで、サ高住を基点とした地域づくりを重視しつつ、地域づくりに対する人々の考えや期待を把握し、時代の変遷に沿った互助の有り方自体の再考を試みたいと考えている。 今では、地方都市でさえも地域住民の互助、コミュニティ形成は希薄化しつつある。一方、スマートフォンの利用可能・不可で地域の情報把握内容、地域の広さの感覚も異なると想像する。 様々な理由で人々の地域に対する概念、地域の範囲が変化しており、これらの実態を活用、又は、新たな対応方法の考案も求められる。地域という枠(範囲)に対する考えを再調査し、インタビュー内容を改めて考えることとした。
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今後の研究の推進方策 |
既に活動を開始しているサ高住運営者にインタビュー又は、アンケート調査を行う。本年度は4名程とし、内容から経緯、目的、運営方法、ビジネス上の視点を含めた活動のメリット等をプレ調査(インタビュー又は、アンケート調査)をする。その内容からインタビュー内容を検討し、三方良し(地域、住民、サ高住入居者)の地域づくりの考え方、手法について把握する。 また、サ高住により、対象設定を高齢者全般、子どもから高齢者、生活困難者等の相違があり、地域づくりのコンセプト、対象設定、実施方法を把握する。殊に本年は、運営者の考え、実施に至る過程、今後の運営方針等の把握を主とする。 さらに、持続性との関連から、経済的バックボーン又は、実施する活動の利潤の考えかたも捉える。 また、サ高住が地域をつくるという概念構成について取り組みたいと考える。 経営・運営と地域再生・地域貢献は重要な観点だが、そのバランスやサ高住運営との兼ね合いで難しい点もある。実際に活動に着手するサ高住運営者に方法だけでなく概念構成や地域づくりの考え方等の調査も試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
該当年に予定していたインタビューを次年度実施に変更したため、次年度使用額が生じた。 次年度は、インタビュー実施に必要な交通費、通信費、謝礼等に使用する計画である。
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