研究課題/領域番号 |
23K10357
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
荒川 尚子 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (90552076)
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研究分担者 |
中山 奈津紀 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (30454375)
宇佐美 裕康 中部大学, 工学部, 助教 (10847669)
鈴木 裕利 中部大学, 工学部, 教授 (20340200)
太田 勝正 東都大学, 沼津ヒューマンケア学部, 教授 (60194156)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 農村部 / 情報共有 / デジタル化 / システム開発 |
研究実績の概要 |
今年度は、農村部における慢性疾患患者本人も含めたキーパーソン間の効率的な情報共有システムの開発に向けた予備調査として、ヘルスボランティアが報告する情報と看護師が求める情報のギャップについて明らかにした。対象者は農村部のヘルスプロモーション病院に勤務する看護師(Ns)と、その管轄下にあるヘルスボランティア(HV)である。糖尿病、高血圧患者のフォローアップに必要な情報項目のチェックリストを用い、情報収集するもの、報告するものを個人で回答してもらったのち、看護師は半構造化面接、ヘルスボランティアはフォーカスグループインタビューを実施し、情報交換に関する現状について尋ねた。 調査の結果、8割以上のHVが看護師に情報提供していると回答した項目は、氏名、性別、住所といった個人情報の他、血圧、脈拍、血糖値などの生体情報であった。一方でNsがHVに情報提供してほしいと回答した項目は、HVが挙げた項目のほかに、内服状況、症状など治療経過に関する詳細情報も含まれていた。インタビューでは、HVからは訪問状況や血圧などの測定した結果はLINEアプリケーションを利用して、画像や文字で報告を行なっていることが明らかになった。また、Nsは、LINEでの報告内容を確認し、必要な場合は患者の家庭訪問を実施している。LINEに多くのメッセージが届くことにより、情報を効率的に検索できない、早期対処すべき案件に気づくのが遅れるなどの課題も表出された。 調査結果から、HVは日々の訪問で得られる生体情報を報告しているが、Nsはそれに加え、内服状況などの治療管理や症状などより詳細な情報を求めており、情報交換には職種間で一部ギャップが存在した。また、日々多くの患者情報の報告を受けるNsには患者情報の検索のしやすさ、生体情報が異常値を示す場合のアラートなどの機能を備えたシステム開発が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、現地調査を行い、現状把握とシステムに組み込む機能や項目の精選を行うことが目的であった。渡航は一度しかできておらず、情報収集は十分とはいえないが、システムのプロトタイプを開発するには十分な情報収集ができたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は予定通り、国内でシステム開発を行ったのち、現地での汎用性や実行可能性について調査を行なっていく。現地調査を経て、システムの修正等を行い、2025年度の運用試験に向けて準備していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の現地調査は予定していた回数より少なく、渡航費等現地調査費用が来年度に繰越となった。
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