研究課題/領域番号 |
23K10378
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
西田 征治 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (90382382)
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研究分担者 |
小川 真寛 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (00732182)
坂本 千晶 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 助教 (00876899)
池内 克馬 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 助教 (20876883)
藤巻 康一郎 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (50324570)
白井 はる奈 佛教大学, 保健医療技術学部, 准教授 (90346479)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 認知症 / 作業療法 / 活動 / QOL / 行動心理症状 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,これまで我われが行ってきた訪問作業療法プログラムの開発研究,活動の質評価法(A-QOA)の開発研究,およびTailored Activity Program(Gitlinら)を参考に,A-QOAを用いた活動基盤型プログラム(activity-based program with A-QOA; aPAQ)を作成し,その効果を入院・入所している認知症の人のQOL,行動心理症状,ストレスや睡眠の観点から検証することである。 令和5年度は研究1(事例研究)として,作成したaPAQの効果や課題を検討すること,およびaPAQを修正するための基礎資料を作成することを目的に事例検討を行った。aPAQの特徴は,A-QOAを活用して認知症の人の意味のある活動を特定し,その活動を「活動処方箋」によってケアスタッフと協働して実施することである。 研究実施に先駆けて,研究協力機関の倫理委員会,および県立広島大学の研究倫理委員会に研究計画書などを提出し承認を得た。研究対象者は入院中の認知症者3名(平均年齢78.3歳)で,彼らに対して作業療法士,ケアスタッフが協働してaPAQを提供した。実施期間は約1か月で,その間に評価,介入,再評価が行われた。評価セッションでは,カルテや作業療法士,およびケアスタッフからの情報をもとに3名の対象者それぞれに活動処方箋が作られ,午後の無為に過ごす時間帯に活動(音楽鑑賞)が提供された。結果的にすべての研究対象者において,活動の質(Quality Of Activities),生活の質(過去1週間の気分など),行動心理症状(不安など)に改善がみられた。作業療法士へのインタビューからプログラムの改善点として,「作業歴や季節,地方を参照して選曲し,歌いやすい歌から開始する」など8つが抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は,作業療法士のみならず,多職種で協働して認知症の人にプログラムを実施する介入研究であるため,研究協力機関の多職種へのインフォームド・コンセントが必要であり,その調整に時間を要した。また,研究対象者が認知症の人であるため,代諾者である家族などにインフォームド・コンセントを実施する必要があり,その実施に時間を要した。さらに,研究協力機関の対象病棟において複数名の患者が新型コロナ感染症に罹患したため,研究を実施できない状況がしばらく続いた。また,研究対象者にとって意味ある活動として特定された音楽鑑賞を病棟のデイルームで実施するため,機器(DVDデッキ,プロジェクター,スピーカーやスクリーンなど)の購入や設置をする必要があったが,それらの実施に時間を要した。これらの理由により,研究の進捗が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,研究1(事例研究)で得られたデータを詳細に分析し,活動の質,QOLや行動心理症状に影響を与えた要因を考察するとともに,活動の処方箋やプログラムのフォーマットの改訂作業を行う。また,研究2(介入研究)として,aPAQの効果を準実験デザインで実施するための準備を行う。具体的には研究計画書の作成と県立広島大学研究倫理委員会への申請,研究協力機関のリクルート,研究説明と同意,研究協力機関の研究倫理審査申請などである。また,年度の後半には,協力の得られた機関からデータ収集を開始する。これらの研究を推進するために,研究分担者や協力機関と会議を開催する。研究1(事例研究)の成果を作業療法または認知症関連の学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究1(事例研究)の実施が年度末となったため,一部の謝礼の請求および支払いが次年度に繰り越された。また,研究協力機関が県立広島大学三原キャンパスと同じ市内にあったため研究説明と同意,および倫理審査のための旅費交通費がそれほどかからなかった。研究分担者との研究会議を対面でなくWeb上で実施したため旅費交通費を必要としなかった。研究対象者3名にとって意味ある活動が,同一のもの(音楽鑑賞)であったためそれぞれの活動に必要な物品を買う必要がなく,1つの活動を実施するための機器を購入するだけでよかったため費用を抑えることができた。 次年度は,研究2(準実験)を実施するため,研究説明と同意等を目的とした研究機関への旅行,研究協力者と対象者への謝礼,介入(意味ある活動)実施のための物品購入などに費用を支出する。また,研究分担者とWeb上および対面で会議を実施するためWeb会議ツールの契約費,旅費交通費を支出する。札幌で開催されるAsia Pacific Occupational Therapy Congress等の学会に参加するための旅費交通費および参加費を支出する。
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