研究課題/領域番号 |
23K10465
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
高橋 英夫 近畿大学, 医学部, 教授 (60335627)
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研究分担者 |
西中 崇 近畿大学, 医学部, 講師 (50786184)
和氣 秀徳 近畿大学, 医学部, 准教授 (60570520)
ハティポール オメル・ファルク 近畿大学, 医学部, 助教 (90791765)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 運動介入 / 創傷治癒 / HRG / 血管新生 / ヒト由来血管内皮細胞株 |
研究実績の概要 |
令和5年度の研究の結果、1)運動介入によるHRG量の解析---C57BL/6Jマウス雄6週齢を自発的運動VE群と非VE群に分けて、VE群はマウス用回転カゴ設置ケージ内で、非VE群は回転カゴ非設置ケージ内での自由運動のみとして飼育した。VEを6週齢から開始して、群中全個体の平均運動量は開始時10000m/日から10週齢30000m/日まで斬増した。運動開始後時期の1日、1 週、2週、3週、4週目でVE群と非VE群の血中HRG濃度をwestern blot法で比較したが差は見られなかった。今後は肝臓、腎臓、肺や下肢骨格筋などのHRGを測定する。70%達成した。2)運動介入による創傷治癒促進作用の解析--- VE群生体内HRG量がピークとなる週齢、又は非VE群とのHRG量の差が最大となる週齢に創作成して運動介入の創傷治癒効果を見る予定であったが、創作成時期を決定できずに未着手である。研究計画では2024年度実施予定で達成0%である。3)HRG補充投与による創傷治癒促進作用の解析---研究計画では2025年度実施予定で達成0%である。4)HRGによる血管保護効果とその機序の解析---血管保護や再生が創傷治癒促進作用を担う。血管再生機序を見るために、マイクロプレート上のマトリゲルに播種したヒト由来血管内皮細胞株EA.hy 926とHUVECによる細胞培養系血管新生モデルを作成して、組織傷害後の血管新生に関与すると言われるヒスタミンやTNF-αなどで低濃度刺激したところ管腔形成を示した。刺激によっては管腔形成の機序が異なり、HRGが刺激選択的に管腔形成を抑制した。100%達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動介入による創傷治癒促進作用とHRG量の関係について述べると、これまでの報告から、VE群マウスは創傷治癒促進作用を有するが、一方で申請者らの経験では、血中HRG濃度の変化は生体内のホメオスタシス維持能と強く相関することがわかっており、VE群マウスの血中HRG濃度変化が見られないのは予想外で、今のところ、本申請の計画通りの成果の見通しは立たない。しかし、本申請研究の過程で、ヒスタミンやTNF-αなどが血管新生における、機序の異なる管腔形成を促し、HRGが刺激選択的にこれら管腔形成を抑制するという全く新しい知見を得た。血管新生を調節する因子の相互関係の研究を変えることができ、本申請助成金の成果が期待できると考えたため。これらヒスタミンやTNF-αの血管新生は再生ではなく、おそらく疾患組織の病態生理に関わると思われるので成果の波及効果は大きい。
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今後の研究の推進方策 |
1)VE群の様々の組織のHRG量の変化を解析して、創作成するタイミングを図る。さらに多くのVE群マウス個体を用意して、様々の組織でのHRG量の変化を解析実施予定である。2)運動介入による創傷治癒促進作用の解析と3)HRG補充投与による創傷治癒促進作用の解析は、2024、2025年度実施予定である。4)HRGによる血管保護効果とその機序の解析は予定より早期に開始となったが引き続き継続する。 計画どおりに進まない時は、予定通り血管新生の機序とHRGの調節効果を解析する。
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