研究課題/領域番号 |
23K10481
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
大森 斉 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (80213875)
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研究分担者 |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | がん性悪液質 / がん性サルコペニア / がん性舌萎縮 / ベルベリン |
研究実績の概要 |
がん悪液質は、がん患者にしばしばみられ治療忍容性を低下し予後を悪化させる。このため、がん悪液質への早期介入ががん治療において重視される。がん性嚥下筋萎縮の惹起は、摂食障害からさらなる悪液質の増悪要因となる可能性がある。今回われわれは、ラット悪液質モデル動物で舌筋萎縮を検討し、ベルベリン(BER)による萎縮予防効果を発見したので報告する。悪液質モデルはF344ラットに同系の大腸癌細胞株RCN9を腹腔内に接種し作製した。舌筋萎縮はデスミン染色を行い、筋-間質比で評価した。BERは標準餌に混合し自由摂取とした。悪液質モデルでは食餌量は低下し、筋-間質比が低下した。BER投与により、腫瘍重量および腹水が減少し、腹水中の炎症性サイトカインは減少し舌筋-間質比は改善した。悪液質モデルに5FU処理すると体重は減少し、腫瘍重量は60%に減少し、筋-間質比は低下した。BER併用により体重減少は改善し、腫瘍重量は45%に減少し、筋-間質比は5FU非使用時相当まで回復した。このように、担癌体では舌筋萎縮が惹起され、抗がん剤により増悪した。BERはがんおよび抗がん剤による舌筋萎縮を抑制しており、がん患者のがん性サルコペニアの改善に有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット悪液質モデルで舌萎縮が生じることを確認し、ベルベリンがその抑制に有効であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
がん性舌萎縮の抑制による、全身のサルコペニアへの影響およびベルベリンの作用機序について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
がん性舌萎縮に対するベルベリンの作用に対して、網羅的遺伝子発現検討を行う費用を次年度に移行した。
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