研究課題/領域番号 |
23K10482
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
昆 恵介 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (30453252)
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研究分担者 |
春名 弘一 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (00712168)
山本 澄子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (30302102)
佐藤 健斗 北海道科学大学, 保健医療学部, 助教 (80868373)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 脳卒中 / カーボン / 装具 / インソール |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに脳卒中片麻痺者(以下:片麻痺者)の転倒予防を目的とした装具の開発を行い,世界で初めて麻痺側の単脚支持期に踵挙上を補助する装具の開発に成功した.しかしながら,利用者が装具使用に際して,装着が困難であることや,外観性の悪さから装具利用をためらうなどの“受け入れ”が問題となっていた.脳卒中片麻痺者を対象とした場合,装具は転倒予防と行動範囲を広げる手段から,健康寿命延伸に寄与する.しかしながら利用者が装具を能動的に継続利用するには,受け入れを改善する必要があった. 本研究では受け入れ不良問題を改善するために,単脚支持期に踵挙上を補助するカーボン製の中敷(インソール)を開発する.具体的には①実験計画法に基づいた直交表解析によって適切なインソールの形状や構造を決定し,実用的に製作,使用するためには何が必要であるのかを明らかにすること②決定したインソールデザインを実際の片麻痺者に対して臨床評価し,インソールの妥当性を評価することを目的としている. 2023年度の実績としては,①の実験計画法に基づいた直交表解析に基づいたインソールデザインを決定することを目的とし,模擬義足を用いた予備実験として三次元動作解析を実施した.実験用に製作したインソールの形状は直交表配列に基づき16パターンであった.実験は筋力の要素を排除するために模擬大腿義足を装着した被検者で実施した.解析の結果からフォアフットロッカーを構築することが分かった.これらの研究成果については原著論文を2本執筆し採択された.次年度に実施予定の直交表解析用実験に向けて16パターンのカーボンインソールを継続して製作している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該研究は,研究計画が準備万端であったため,予定通りに研究を遂行できている.
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今後の研究の推進方策 |
プロトタイプのカーボンインソール(以後:ROSI)を脳卒中片麻痺者に対して適用した予備実験からフォアフットロッカー(FFR)が出現することはわかっている(吉澤,昆恵介:第36回義肢装具学会,2020)が,障害のある片麻痺者に対して,16パターンの歩行条件で実験を行うのは負担が大きいため,倫理的配慮から健常者が模擬義足を装着することで片麻痺歩行を再現する.模擬義足は動力がない振り子状態となることから筋力のない片麻痺者特有の左右非対称性を再現できる.なお,この方法は先行研究の計測方法を踏襲するため,実施方法については片麻痺歩行を再現したものであることを確認済みである.歩行計測は 赤外線カメラを用いた三次元動作解析とし,FFR出現条件である単脚支持期における踵挙上の割合を算出し従属変数とする.またFFRに寄与すると思われる因子を独立変数とした直交表解析を実施し,各因子がFFR出現への寄与度を算出するとともに,各因子ごとの最適水準を決定する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度の研究実施では研究協力者からの材料提供もあり,カーボン製インソールのプロトタイプを製作するにあたり,当初,計画していた消耗品費からの材料購入をしなくてもよくなったため,余剰分が発生した.2024年度は国際会議に出席し,成果を報告するとともに情報収集することを予定している.またカーボン製インソールの構造を分析し,歩行分析を実施するとともにカーボン素材の耐久性を検討することを予定している.
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