研究課題/領域番号 |
23K10524
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研究機関 | 富山短期大学 |
研究代表者 |
藤田 恭輔 富山短期大学, その他部局等, 准教授 (70707538)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | エゴマ油 / 不飽和脂肪酸 / 筋萎縮 |
研究実績の概要 |
令和5年度は、廃用性筋萎縮モデルマウスにおいて、摂取する脂肪酸の質が筋萎縮の進行に影響するかどうかを明らかにすることを目的に研究を行った。マウス用精製飼料中に、油脂成分として一価不飽和脂肪酸を多く含むベニバナ油、n-6系高不飽和脂肪酸を多く含むブドウ油、n-3系不飽和脂肪酸を多く含むエゴマ油のいずれかを添加した飼料をICRマウス自由に摂餌させた。2週間摂餌させた上で、両後肢をギプスで1週間固定した。ギプス固定後のマウスの体重、腓腹筋の重量を測定したところ、いずれの油脂を与えてもギプス固定により有意に小さくなった。また、ギプス固定後の体重、腓腹筋の重量は、与える油脂の違いに影響を受けていなかった。マウスの後肢の機能については、ラダー歩行における踏み外し回数を評価した。ギプス固定から1週間後にギプスを除去した後、歩行試験を行ったところ、ギプスで固定していたマウスは有意に踏み外す回数が多くなった。しかし、与える油脂の違いによる差異は見られなかった。また、摂餌量について検討したところ、ギプス固定中の摂餌量は固定群と非固定群の間に有意な差が見られなかった。これらの結果は、ギプスで1週間固定した場合、マウスの筋萎縮に対して油脂の違いが影響しないことを示唆している。今回のモデルにおいては筋萎縮が急速に起こったため、1週間後では油脂の影響を示すことができなかったが、筋萎縮の回復期において油脂が影響する可能性は残されている。また、油脂に加え薬物の投与により筋萎縮を抑制できる可能性も残されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、与える油脂によりギプス固定後の筋萎縮の程度に差がみられることを想定していたが、今年度行った実験の条件では仮説を実証することができなかった。そのため、詳細なメカニズムの分析にまで至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に実証する予定であった仮説を、実験条件を検討したうえで再検討する予定である。これとともに、今後検討する予定であった、ギプス固定からの回復期における油脂の影響についても検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では、動物実験後に詳細なメカニズムの解析のため、分子生物学的実験を行う予定であったが、想定と異なる結果になったためそこまで至らなかった。次年度以降、これらの解析が控えているため、今年度未使用分の予算を充てる計画である。
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