研究課題/領域番号 |
23K10542
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
太田 大樹 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (10712432)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 筋膜 / 骨格筋 / RNAシーケンス法 |
研究実績の概要 |
本計画では、「遅発性筋痛」において痛みを強く生じる筋膜組織に着目し、遅発性筋痛における下腿筋膜および前脛骨筋を対象にRNAシーケンス法を用いた遺伝子発現解析を行った。雄性SDラットの下腿伸筋群に伸張性収縮(LC)を負荷し、遅発性筋痛モデルを作製し、痛みが最も強くなるLC24時間後に下腿筋膜とその直下に位置する前脛骨筋から全RNAをそれぞれ精製後、DEG解析およびリアクトームデータベースを用いたパスウェイ解析を行った。1)まず、無処置の筋膜と筋の間の比較解析において、筋膜で4,888遺伝子が発現増大遺伝子として抽出された。さらにパスウェイ解析の結果、33の反応系が筋膜で抽出され、筋膜の遺伝子発現特性は筋と大きく異なることがわかった。2)LC24時間後の筋膜において、非運動側(反対側)の筋膜に対し、発現上昇遺伝子が12個、発現低下遺伝子が208個抽出された。発現増大遺伝子のうち、抗炎症経路への関与が報告されているAnkrd1 mRNA発現レベルをリアルタイム逆転写PCR法で調べたところ、LC側で非運動側に比べて有意な発現増大がみられた。一方、これまで筋由来の遅発性筋痛発症因子として報告されている「神経成長因子」および「シクロオキシゲナーゼ2」のmRNA発現レベルは、筋膜においてはLCによる変動がみられなかった。また、発現減少遺伝子に対するパスウェイ解析を行ったところ、バリア機能に関わるパスウェイが抽出された。今後は、本研究で抽出された因子の筋膜における発現分布を免疫組織化学的に解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNAシーケンス法を用いた遺伝子発現解析の結果、筋膜においてこれまで注目されてこなかった新たな変動遺伝子を抽出することができた。一方で、筋膜における遅発性筋痛発症に関わるハブ遺伝子の同定には至っておらず、目下解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、RNAシーケンス法による遺伝子発現解析で抽出された因子について、筋膜における発現分布を明らかにするため、免疫組織化学的解析を行う。また、抽出因子および関連因子の阻害による行動薬理学的、電気生理学的検証を行うことで、遅発性筋痛の症状への関与を明らかにし、学術雑誌への論文投稿および成果公表に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNAシーケンス法による遺伝子発現解析が当初の想定よりも少ない経費で遂行できたため、繰越金が生じた。次年度への繰越金は、令和6年度の助成金と合わせて物品費に使用する。
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