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2023 年度 実施状況報告書

骨格筋由来のリパーゼ作用を介した脂質代謝メカニズムの性差の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K10581
研究機関群馬大学

研究代表者

常川 勝彦  群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (30436307)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード脂質代謝 / 骨格筋 / リパーゼ
研究実績の概要

リポ蛋白リパーゼ(LPL)とその血管内皮アンカー蛋白であるGPIHBP1は、血中中性脂肪(TG)分解に重要な蛋白であり、運動時の脂肪酸産生によるエネルギー利用促進や血中TG低下、HDL上昇を介した動脈硬化進展抑制等の働きがある。研究代表者らはヒトにおける血中LPLおよびGPIHBP1濃度の測定試薬を開発し、男性アスリートにおいて骨格筋量の増加に伴い血中LPL、GPIHBP1濃度が上昇することを明らかにした。また、さらなる解析により女性では骨格筋量が少ないものの血中LPL、GPIHBP1濃度が高値となることが確認できているが、この性差の原因は不明である。本研究ではヒト及びマウスを対象に、骨格筋由来のリパーゼ作用を介した脂質代謝メカニズムの性差を解明することを目的としている。現在までに、男女の健常者および運動形態の異なるアスリートの対象者を増やしてこれら血中濃度の解析を継続している。マウスにおいては、骨格筋培養細胞を用いて、分化の過程におけるLPLの発現量の変化を観察し、その中でのエストロゲン添加による違いについてRNAおよび蛋白レベルでの解析を継続中である。また、マウス血中LPL濃度の測定試薬を新たに開発し、成果をJournal of Lipid Research誌に発表した(Kimura T,et al. J Lipid Res. 2024 Apr 11;65)。さらにマウス血中GPIHBP1濃度の測定試薬の開発について成果をまとめ、投稿準備中である。これらの試薬を用いてマウスの様々な運動負荷前後での血中濃度の変化とエネルギー利用の関連について解析を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒトを対象とした健常者とアスリートの解析については、男女ともに対象者を計画的に拡大できている。現在までの結果では、男性より女性で骨格筋量が少ないにも関わらず、血中LPL濃度およびGPIHBP1濃度が高く、さらに血中HDLコレステロール高値、TG低値が確認できている。さらに運動様式による脂質のエネルギー利用のメカニズムを明らかにするためにも、レジスタンス運動主体のレスリング選手、持久力運動主体の長距離選手を中心に対象をさらに増やしていく予定である。また、マウスにおいては、骨格筋培養細胞を用いて、分化の過程におけるLPLの発現量の変化を観察し、その中でのエストロゲン添加による違いについてRNAおよび蛋白レベルでの解析が進み、進捗は概ね良好と判断できる。血中のLPL濃度の測定試薬が完成し、さらにGPIHBP1濃度の測定試薬の開発が進み、現在成果の投稿準備中である。これらの試薬を用いたマウスの血中濃度について、運動条件の違いなどによる変化と精査の関係について解析を計画中である。

今後の研究の推進方策

今後の研究では、ヒトにおいては対象の拡大に加え、脂質エネルギー利用の男女の違いを様々な運動の条件下で比較することで、LPLおよびGPIHBP1の詳細な役割が明らかになると考えられる。特に運動様式の違いのほか、高地トレーニング等の酸素濃度の違いによるエネルギー利用の違いを評価することがその機序を解明するのに重要と考えている。今後、高地トレーニング前後での血中LPL、GPIHBP1濃度の変化について検討を行う予定である。また、マウスについては、血中のLPL濃度の測定試薬が完成し、さらにGPIHBP1濃度の測定試薬の開発が進み、現在成果の投稿準備中である。これらの試薬が脂質利用のメカニズムの性差を解明することを促進すると考えている。今後、マウスの血中濃度について、運動条件の違いなどによる変化と精査の関係について解析を計画中である。

次年度使用額が生じた理由

今年度、マウス血中LPL濃度測定試薬の開発と公開を行うことができた。また、マウスGPIHBP1濃度測定試薬も同様に開発と公開を行う予定であったが、まだ論文公開が行えておらず次年度へ持ち越しとなっている。本試薬を用いてのマウス培養細胞及び運動負荷モデルマウスを用いた実験のための試薬・器具の費用、さらに論文掲載費用が次年度必要となることを考慮し、今年度の使用額を抑えて次年度へ持ち越しとしている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Quantification of lipoprotein lipase in mouse plasma with a sandwich enzyme-linked immunosorbent assay2024

    • 著者名/発表者名
      Kimura Takao、Miyashita Kazuya、Fukamachi Isamu、Fukamachi Kumiko、Ogura Kazumi、Yokoyama Erina、Tsunekawa Katsuhiko、Nagasawa Takumi、Ploug Michael、Yang Ye、Song Wenxin、Young Stephen G.、Beigneux Anne P.、Nakajima Katsuyuki、Murakami Masami
    • 雑誌名

      Journal of Lipid Research

      巻: 65 ページ: 100532~100532

    • DOI

      10.1016/j.jlr.2024.100532

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Perioperative pancreaticoduodenectomy management strategy focusing on postoperative early drain colonization2024

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Akira、Harimoto Norifumi、Araki Kenichiro、Igarashi Takamichi、Tsukagoshi Mariko、Ishii Norihiro、Hagiwara Kei、Tsunekawa Katsuhiko、Murakami Masami、Shirabe Ken
    • 雑誌名

      Surgery Today

      巻: 54 ページ: -

    • DOI

      10.1007/s00595-024-02810-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Assessment of exercise-induced stress via automated measurement of salivary cortisol concentrations and the testosterone-to-cortisol ratio: a preliminary study2023

    • 著者名/発表者名
      Tsunekawa Katsuhiko、Shoho Yoshifumi、Ushiki Kazumi、Yanagawa Yoshimaro、Matsumoto Ryutaro、Shimoda Nozomi、Aoki Tomoyuki、Yoshida Akihiro、Nakajima Kiyomi、Kimura Takao、Murakami Masami
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 14532

    • DOI

      10.1038/s41598-023-41620-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Revised Cut-Off Value of Human Epididymis Protein 4 Enhances Its Use as an Ovarian Tumor Marker2023

    • 著者名/発表者名
      Machida Hiroki、Hirakawa Takashi、Tsunekawa Katsuhiko、Kimura Takao、Murakami Masami、Abe Yumiko
    • 雑誌名

      Gynecologic and Obstetric Investigation

      巻: 88 ページ: 349~358

    • DOI

      10.1159/000534064

    • 査読あり
  • [学会発表] 若年者の75g経口糖負荷試験における運動時間と性差の解析2023

    • 著者名/発表者名
      葭田 明弘, 荒木 修, 常川 勝彦, 青木 智之, 木村 孝穂, 村上 正巳
    • 学会等名
      第70回日本臨床検査医学会学術集会
  • [学会発表] 群馬大学医学部附属病院のがん遺伝子関連検査体制整備における臨床検査専門医の取り組み2023

    • 著者名/発表者名
      常川 勝彦, 青木 智之, 葭田 明弘, 村上 正巳, 木村 孝穂
    • 学会等名
      第70回日本臨床検査医学会学術集会
  • [学会発表] 意識消失のために救急車にて来院した20歳代女性2023

    • 著者名/発表者名
      常川 勝彦, 森本 麻衣, 藤岡 優樹, 松本 剛
    • 学会等名
      第70回日本臨床検査医学会学術集会
  • [学会発表] スクリーニング検査にて高ALP血症を呈した胃癌原発播種性骨髄癌症の1例2023

    • 著者名/発表者名
      常川 勝彦, 青木 智之, 葭田 明弘, 木村 孝穂, 村上 正巳
    • 学会等名
      第64回日本人間ドック学会学術大会

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公開日: 2024-12-25  

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