研究課題/領域番号 |
23K10583
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
望月 友晴 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (00773607)
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研究分担者 |
大森 豪 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (70283009)
牛木 隆志 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80579152)
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | PRP / プロアスリート / ポリリン酸 / ATP / 成長因子 / 炎症性・抗炎症性サイトカイン / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
PRP治療の可否は損傷部の状態とPRPの「品質」によって決まるが、現在までのところ、このような品質を規定するような因子は同定されていない。このため、我々は「第3の生体活性物質」として再注目されているポリリン酸(polyP)をターゲットとし、個体差の実態解明を試みてきた。polyPは血小板ではADPなどとともに濃染顆粒中に蓄えられ活性化と共に血小板外に放出され、血管新生、骨石灰化、酸化ストレスなど様々な作用がpolyPには示唆されているが、いまだ未知の作用も多い。また、リン酸構造のポリマーであるため、血小板中のミトコンドリア機能およびATP産生量がその生成量に影響する。 まず、単純にPRPの品質の一つの指標として血小板代謝を示す血小板ATPやそれに関連するpolyPが高値であれば、PRPの治癒促進に有利ではないかと考え解析対象とした。その結果、今回のプロジェクトでプロアスリートでは非アスリートに比して血小板あたりのpolyPとATPが優位に低いこと、PRPに含まれる代表的増殖因子群に有意な差は認められないことがわかり、単純に血小板ATPやpolyP、各種成長因子が、それら単独ではPRPの品質を規定する因子ではない可能性が示唆された。さらに研究対象を女性アスリートや非運動系女子群に拡大して調査したところ、女性アスリートでは男性アスリートと比較し成長因子は低い一方で、炎症・抗炎症性サイトカインが有意に高値であることが示され、PRPの品質に性差も大きく関与していることが示唆された。 PRPの品質を規定する因子は単一でないため、包括的にその機能を考える必要がある。そこで、今まで我々の知見から、血小板polyPやATPの産生に関わっているミトコンドリア機能がPRP治療機能改善の大きな糸口になる可能性を考えた。今後はミトコンドリア機能の観点からPRPの品質を評価すること、臨床の治療対象群のデータからPRPの品質を規定する因子を同定していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り進行している
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今後の研究の推進方策 |
プロアスリートでは非アスリートに比して血小板あたりのpolyPとATPが優位に低いこと(Ushiki et al, Physiol Rep. 2022、Ushiki et al, Frontiers in Bioengineering and Biotechnology. 2023)、PRPに含まれる代表的増殖因子群に有意な差は認められないこと(Mochizuki, Ushiki et al, BMC J Orthop Surg Res, 2022) がわかり、単純に血小板ATPやpolyP、各種成長因子が、それら単独ではPRPの品質を規定する因子ではない可能性が示唆された。さらに研究対象を女性アスリートや非運動系女子群に拡大して調査したところ、女性アスリートでは男性アスリートと比較し成長因子は低い一方で、炎症・抗炎症性サイトカインが有意に高値であることが示され(Mochizuki et al,Int J Mol Sci. 2023)、PRPの品質に性差も大きく関与していることが示唆された。 PRPの品質を規定する因子は単一でないため、包括的にその機能を考える必要がある。そこで、今まで我々の知見から、血小板polyPやATPの産生に関わっているミトコンドリア機能がPRP治療機能改善の大きな糸口になる可能性を考えた。今後はミトコンドリア機能の観点からPRPの品質を評価すること、臨床の治療対象群のデータからPRPの品質を規定する因子を同定していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費などの使用額が予定より少なかった。次年度、引き続き計画通り使用していく
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