研究課題/領域番号 |
23K10605
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
會田 宏 筑波大学, 体育系, 教授 (90241801)
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研究分担者 |
齊藤 まゆみ 筑波大学, 体育系, 教授 (00223339)
北崎 悦子 学習院大学, 付置研究所, 教授 (40883476)
松本 沙羅 明星大学, 教育学部, 助教 (90983958)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 実践知 / パラアスリート |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,車いすに座ってプレーする球技において,卓越したパラアスリートが獲得した実践知を,①技術力と戦術力に着目して構造化し,②すでに構造化されている健常アスリートの実践知と比較することを通して,③技術・戦術的に発達段階にあるジュニア期のパラアスリートの合理的な育成に寄与できる知見を実践現場に提供することである。 2023年度は,現役を引退している元女子車いすバスケットボール選手・A氏(シドニー2000パラリンピック競技大会第3位)と現役女子車いすテニス選手・B氏(世界ランキング10位台(2023年5月時点))へのインタビュー調査を実施し,2名の卓越したパラアスリートが獲得した「動きのコツ」(技術力)と「対戦相手とのかけ引き」(戦術力)に関する語りを,対話的・共同的に産出した。 また,A氏の語りを質的に分析し,シュートプレイで働いている技術力と戦術力の構造化を試みた。その結果,A氏は,シュートを打つ一連のプレイの中で,ボールを捕球する局面ではブレーキのない競技用車いすの特性を生かす独自のチェアスキルを獲得していること,シュートを放つ局面では車いすの動く進行方向とボールに力を加える方向が異なるため,ボールの回転を駆使してリングに正確にボールを届かせていること,それらのコツの獲得には残存機能が密接に関係していることを明らかにした。これらの研究成果は,国内の学会大会において口頭発表し,卓越したパラアスリートが獲得した実践知について他の研究者と議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では,2023年7月までにインタビューの標準的な流れ(インタビュー・ガイド)を作成し,2024年3月までに卓越した車いすパラアスリート8名にインタビュー調査を行う予定であった。しかし,2023年8月以降,パリ2024パラリンピック競技大会出場をかけた予選大会や強化練習会,ポイント獲得レースなどが多くの種目で行われ,計画していたパラアスリートへのインタビューの多くを実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度(研究2年度目以降)は,インタビュー調査における当初の遅れを取り戻すように研究を加速させる。研究協力者がパリ2024パラリンピック競技大会に出場した場合には,インタビュー調査の依頼は大会が終了する2024年9月8日以降となるが,個別のインタビュー調査が終わり次第,その発言内容を文字におこし,精読,整文化する。その後,発言内容を質的に分析し,インタビュー対象者ごとに実践知に関する個別事例としてまとめる。さらに個別事例を研究代表者と研究分担者とで協議し,卓越したパラアスリートが獲得した実践知の構造化に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度(研究1年度目)に予定していた,研究協力者に対するインタビュー調査は,パリ2024パラリンピック競技大会出場をかけた予選大会や強化練習会,ポイント獲得レースなどのため,その多くが実施できなかった。そのため,それに係る旅費,謝金,テープ起こし等の経費を執行できなかった。これが,次年度使用額が生じた理由である。2024年度(研究2年度目)は,当初2023年度に実施する予定であったインタビュー調査をできるだけ早い時期に実施し,かかる研究経費を執行する予定である。
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