研究課題/領域番号 |
23K10633
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石田 浩司 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (50193321)
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研究分担者 |
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (40343214)
山岡 雅子 (遠藤雅子) 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (30336911)
鍛島 秀明 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (40714746)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 動的運動 / 内臓血流 / 血流配分 / 性差 / 血圧調節 |
研究実績の概要 |
背景:運動時には,適度な血圧の維持や活動筋へ酸素を供給するために,緻密な循環調節が行われる.この循環調節には,性差や加齢の影響があることが知られており,若齢女性では,同年代の男性と比較して運動時の循環応答が異なることが報告されている.また,若齢女性では月経周期の影響もまた運動時の循環応答に影響することも報告されている.我々は,これらの性差や月経周期による影響に,腹部内臓血管の応答が異なるのではと考え,研究を進めた. 方法:対象者を16名の若齢女性と14名の若齢男性とした.このうち,11名の若齢女性および10名の若齢男性で運動時の腹腔動脈血流を測定することができた.運動形式は動的な膝屈曲伸展運動とし,強度は30%心拍予備,時間は4分とした.測定項目は,心電図(心拍数),動脈血圧,腹腔動脈血流を連続的に測定した.腹部内臓血流の測定には,超音波診断装置を用いた.若齢女性では,月経周期の影響を見るために,卵胞期前期および黄体期中期に同じ測定を実施した. 結果:若齢女性および男性にて運動時の平均血圧は増加したが,その増加に有意な差は認められなかった.腹腔動脈血流は,両群共に運動直後より低下し,その低下は運動終了(4分間)まで維持された.腹腔動脈血流の低下の程度に若齢女性と男性で差は見られなかった.また,月経周期による影響も認められなかった. まとめ:これらの結果から,軽運動強度における腹部内臓血流の変化に,性差および月経周期の影響はないことが示唆される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
若齢女性の月経周期に合わせた測定に時間を要すると思われたが,予定された研究期間で卵胞期前期および黄体期中期の測定を実施することができた.また,超音波診断装置を用いた運動時の腹腔動脈血流の測定は呼吸の影響を受けるため難しいが,呼吸数を20回/分に合わせ,呼気時のみを分析することで対応した.
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今後の研究の推進方策 |
高齢者では若齢者と比較して運動時の血圧増加(昇圧応答)が大きいことが知られているが,そのメカニズムはいまだ完全に明らかにされていない.また,加齢にともなう運動時の循環応答の変化は,男性より女性で大きいことも報告されている.我々は,この加齢に伴う昇圧応答の変化に,内臓血管の収縮の程度が関係しているかもしれないと考えている.今後は.高齢女性を対象として測定を進め,若齢女性の応答と比較することで加齢による運動時の循環応答メカニズムの解明を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
対象者のうち,高齢女性のリクルートに時間を要し測定が2024年度での実施計画となったため. リクルートはすでに完了したことから,2024年では高齢女性を対象とした運動時の内臓血流測定を進め,若齢女性との血流応答との比較を行う予定である.
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