研究課題/領域番号 |
23K10643
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
黄 仁官 日本体育大学, 体育学部, 教授 (30453939)
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研究分担者 |
小林 哲郎 日本体育大学, 体育学部, 助教 (90822320)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 女性アスリート / 競技特異性 / 骨疾患予防 / 骨密度 / 骨代謝関連遺伝子 |
研究実績の概要 |
本採択研究課題は、女性アスリートの「三主徴」を背景に、そのリスクマネジメントを調査研究する目的として現在まで「①三主徴の原因究明を狙いに2017~2019(基盤研究C・関連論文3編)、②骨疾患予防を狙いに2020~2022(基盤研究C・関連論文4編)」研究成果として積み上げ①では「女性アスリートの骨に関 わる環境的・遺伝的指標を分析し、リスクの原因究明に繋がる可能性を」、②では「女性アスリートの低骨密度(骨疾患含 む)リスクのへの環境・遺伝的関連性と、骨疾患リスクの高い競技者へのレジスタンストレーニングによる改善 可能性を」それぞれ報告してきた。現在、採択課題(基盤研究C・2023~2026)は、2年目を向かえており、これまでの研究成果を踏まえ、女性アスリートの骨疾患は競技種目の特異性が強く関連する可能性高く、その調査を大規模前向きコホート研究により、トレーニング時期(内容を含む)を含めた環境と遺伝の双方から競技特異的な骨疾患のリスクファクターを解明すべく、基盤となるデータの蓄積(8~10競技種目(300人)を対象に過去のレジスタンストレーニング時期、月経異常、初経遅延、骨折経験等の環境因子調査に加え、骨代謝遺伝子解析並びに現在の骨密度測定)を実施する為の対象者選定、倫理的配慮、調査・測定時期などの調整が、研究1年目の2023年12月終了し、現在は上記調査・計測・分析の為のサンプル収集等が開始され進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本採択研究課題の対象者数(申請当初:8~10競技種目300人⇒2023年12月現場調整後:13~20競技種目400~500人に対象者増員)や調査項目などが研究申請当初から大規模であることを予想し、準備段階から調整計画をしたが、対象競技全種目のシーズン等が異なる上、怪我などの関連を踏まえた現場調査的な配慮が少々不足したことにより、当初予定より7カ月程度、遂行開始時期時期の遅れが生じている。従って、現在の進行状況は、調査対象の全競技種目中、正式実験計画及び倫理的配慮を含めた調整終了(2023年12月)し、調査・計測を実施中の団体は11競技種目300人前後(2024年3月)であり、追加調整(新たに正式実験計画及び倫理的配慮を含めた調整を終了(8競技種目200人前後・2024年4月)した。現在は、昨年12月調整が終了し測定実施中の対象者(11競技種目)に、2024年4月までに調整が終了した対象者(8競技種目)の総人数500前後の調査・計測を遂行中である。
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今後の研究の推進方策 |
本採択研究課題の全体の調査(19~20競技種目の対象者へのレジスタンストレーニング時期、月経状況、怪我「骨折」、栄養等)・計測(iDXAによる骨密度「全身・腰椎・大腿部」)及び骨代謝関連遺伝子多型解析の為のサンプル採収(骨代謝関連遺伝子多型解析:①ビタミンD受容体遺伝子多型「ApaI,TaqI,FokI」、②エストロゲン受容体遺伝子多型「PvuII,XbaI」、③CYP19A1多型「アロマターゼ関連遺伝子多型」、④COL1A1多型「I型コラーゲン関連遺伝子多型」、⑤α-アクチニン-3R577X多型)を含めたデータ収集の終了時期を2024年9月~10月を計画している。さらに、2025年4月迄には全データの項目に関する分析を終え、環境的因子と遺伝的因子の解析を終え次第、順次関連の研究成果を専門学会を通じて発表(2025年9月~2026年10月)並びに国内外の専門ジャーナルへオリジナル論文として2編以上をまとめ報告・発表する計画である。 現在のところ、研究申請当初内容の実験①において現在実施中であるが、当初協力競技種目より対象者数が増加し、それの伴う経費不足(謝礼の支出やサンプル採収や分析などに必要な試薬などの品が殆ど海外からの輸入品が多く、現在の円安による当初申請経費を大幅超過することが予想される)から、今回の課題遂行は当初計画の実験②を取り止め、研究の質的担保を図ることを狙いに実験①の遂行のみを主な研究課題とし、研究を継続することと判断して一部研究遂行内容の変更が生じるものと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本採択研究課題の対象者数の増加(申請当初:300人⇒2023年12月現場調整後:13~20競技種目400~500人)や調査項目などが研究申請当初から大規模であることを予想し、準備段階から調整計画をしたが、対象競技全種目のシーズン等が異なる上、怪我などの関連を踏まえた現場調査的な配慮が少々不足したこともあり、実行前の準備調整に2023年12月まで時間を要した為、実験実施開始が数カ月遅れが生じたことから初年度の研究遂行に必要な被験者謝礼などが殆ど経費として未使用であったことが主な理由となる(2023年度使用額は主に予定していた事前調査や本実験に必要な遺伝子サンプル採収キットの一部確保の使用額である)。従って、2024年度に使用する予定の経費に合わせて、本実験が2024年~2025年(データ収集・分析解析及び被験者・検者謝礼)に渡って遂行されることが予想されることから、2023年度未使用の602,697円は、2024年度の実験実施時の謝礼並びに試薬など必要経費として支出する計画である。
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